線状降水帯などの影響により、今年7月は東北、北陸、九州などで大雨による自然災害が発生した。すでに報道で知るところだろうが、秋田県では茶色に濁った水が市内の至るところに溢れ出し、湖の中に町が水没してしまったような様相を呈していた。
自然災害が起きた地域では、住民が一刻も早い日常生活の回復を望んでいる。このとき、被害を受けた道路、橋などの迅速な復旧の役割を担うのが建設業だ。安心・安全な生活を取り戻すため、地域住民の期待を背負っているといっても大袈裟ではない。
一方で、ものづくりの現場とは違う復旧工事ならではのリスクがある。たとえば、緊急事態であるため安全衛生対策が疎かになりがちと指摘する声が聞かれる。ライフラインの復旧が最優先事項になり、場合によっては住民の命にかかわる事態に直面することもある。そのため、作業員も自身の安全より、使命感から地域の復旧を第一とする傾向になり、危険に対して感度が鈍くなる。
また、復旧を急ぐあまり、現地の十分な調査を行わず、適正な工事計画などがおざなりになりやすいといった雰囲気があるという。復旧工事現場は、自然災害のケースにもよるが、土砂崩壊が発生しやすかったり、多くのガレキが道を塞いでしまっていたりと、今までにない状況が待ち受けている。どのような場合でも、二次災害の危険など現地の調査をよく行ったうえで、冷静な行動で災害防止に努めていきたい。
土砂崩れや浸水により被災した建物のガレキ処理作業にも注意が必要だ。釘などを踏み抜いたり、落下してきた物に当たるなど多くの危険を伴う。長袖の作業着、底の厚い靴、丈夫な手袋など入念な準備が重要だ。さらに、ガレキのなかには、石綿が含まれている可能性がある。呼吸用保護具の着用などの対策が求められるが、まずは事前の調査が重要になるのはいうまでもない。
大雨や台風などが発生するのは、夏や初秋など気温の高い時季。熱中症にも、配慮する必要がある。
復旧工事の作業に慣れている人は多くない。日常の作業よりも、慎重で冷静な対応が求められる。
からの記事と詳細 ( 【ひのみやぐら】復旧工事は十分な事前調査を - 労働新聞社 )
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