東京電力福島第1原発から海洋放出処分が計画されている処理水は、原発で発生が続く汚染水を浄化処理した後の水です。どのようにして処理しているのでしょうか。(小野沢健太)
Q そもそも汚染水はどうして発生するの?
A 1~3号機内には事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)があり、原子炉に注水してデブリを冷却する作業が続いています。デブリに触れた水は、高濃度の放射性物質を含む汚染水となります。建屋の損傷部分などから入ってきた雨水や地下水と混ざって量が増え、2022年度で1日約90トン発生しました。デブリへの注水と、建屋内への水の流入を止めない限り、汚染水は発生し続けます。
Q 汚染水はどうやって浄化処理しているの?
A 原子炉建屋からくみ上げた汚染水は、除染設備で放射性セシウムとストロンチウムを低減した後、多核種除去設備(ALPS=アルプス)で浄化処理し、タンクに保管しています。ALPSで処理済みの水が「処理水」と呼ばれています。
Q ALPSはどういう設備なの?
A 13年3月に試運転が始まり、セシウムなどを含む62種類の放射性物質をほぼ除去します。放射性物質の多くは、検査しても検出できない濃度まで薄くなっており、セシウム137は国の排水基準の1000分の1程度が検出されています。水素の仲間であるトリチウムは除去できず、そのまま残っています。計画では、この水を海水で100倍ほど薄め、トリチウム濃度を排水基準の40分の1未満にして海へ流します。
Q タンクで保管中の処理水は全てが十分に浄化できているの?
A いいえ。ALPSの稼働当初は不具合が頻発し、汚染水の発生量も今より数倍多く、東電は十分な浄化よりも素早く処理することを優先しました。現時点でタンクに保管している約133万トンの処理水のうち、約7割が浄化が不十分で、トリチウム以外の放射性物質も国の排水基準を上回っています。
Q 浄化が不十分な水も放出するの?
A 東電はALPSの性能が向上した後の新しい処理水から放出する方針です。基準を上回っている水は、ALPSでもう一度浄化処理し、基準未満の濃度に下げてから放出する計画です。東電の再浄化試験では、基準未満に低減された結果が出ています。
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