Tuesday, August 8, 2023

山岳トンネル工事における最適発破自動設計施工システムを開発 - 清水建設

清水建設(株)<社長 井上和幸>はこのほど、古河ロックドリル(株)、(株)演算工房、(株)ジャペックスと共同で、山岳トンネル工事における発破作業の生産性向上を目的に、地山の性状に合わせた最適な発破パターンの自動設計施工システムを開発しました。このシステムは、当社が開発を進めるICT、IoT、AIなどの最新技術を活用した次世代型トンネル構築システム「シミズスマートトンネル」の要素技術の一つです。このシステムでは、フルオートコンピュータジャンボで自動計測した穿孔時のエネルギー変化を基に、地山の硬軟を可視化し、最適な発破パターンを導出します。また、発破パターンを基に作成する穿孔プランを、プログラミング制御が可能なコンピュータジャンボに取り込むことで、自動施工が可能です。

発破掘削による山岳トンネル工事では、トンネル設計断面に対して必要量以上に掘削する余掘りや、掘削が不十分なアタリが発生します。これらは、サイクルタイムやコストの増加だけでなく、品質や耐久性にも大きな影響を与えるため、最小限に抑える必要があります。従来、発破精度に影響する穿孔本数や位置、火薬の装薬量といった発破パターンの設計は、熟練技能者が経験と感覚を頼りに行っていました。しかし、近年、熟練技能者不足が急速に進んでおり、データに基づく再現性のある設計手法の確立が求められています。

当社が開発した最適発破自動設計施工システムは、まず、前サイクルの穿孔時にコンピュータジャンボが自動収集した穿孔エネルギー値を基に切羽面の地山性状をサイバー空間で自動解析し、地山の硬軟分布に応じた最適な発破パターンを自動作成します。発破パターンは、切羽面を5分割したゾーン図に表示され、領域ごとに最適な穿孔数と装薬量が割り当てられます。掘削前にドリルジャンボブームの動線シミュレーションを行い、ブームが相互干渉しないよう穿孔順序を設定すれば、最適な発破設計に基づくフルオート穿孔の準備が整います。

システムの適用効果については、東海北陸自動車道真木トンネル工事(発注者:中日本高速道路(株))で実施した実証試験で確認済みです。同工事では、システム適用によってアタリ量の平均値が69.3%減少し、余掘り量も41.4%減少しました。また、火薬使用量も7%削減できました。これらの効果によりサイクルタイム・施工コストの大幅な削減とともに、トンネル掘削面の平滑化などトンネルの品質、耐久性の向上が見込めます。

当社は今後、複数の国内トンネル工事への本技術の適用を予定しており、山岳トンネルの標準技術として広く展開していきます。

ニュースリリースに記載している情報は、発表日現在のものです。ご覧になった時点で内容が変更になっている可能性がございますので、あらかじめご了承ください。ご不明な場合は、お問い合わせください。

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