Thursday, September 8, 2022

イランの濃縮度60%ウラン備蓄量、55キロ超に増加…進めれば核爆弾製造に「十分な量」 - 読売新聞オンライン

 核開発を加速させるイランが濃縮度60%のウランの備蓄量を55キロ・グラム超に増やしたことが8日、国際原子力機関(IAEA)の報告書でわかった。核合意の立て直し協議を続ける米国から、核開発の抑止と引き換えに制裁解除を引き出す意図があるとみられる。

 7日付の報告書によると、8月21日時点の備蓄量は推定55・6キロ・グラムで、5月14日時点から12・5キロ・グラム増えた。濃縮度90%超で核兵器への転用が可能とされ、ロイター通信は7日、「さらに濃縮を進めれば、核爆弾1個(の製造)に十分な量」と伝えた。

 民生利用の水準を大幅に上回る核開発への懸念は強まっている。イランは6月、核合意に基づいて核関連施設に追加で受け入れた監視カメラを撤去した。未申告施設でウランの痕跡が見つかった問題についても、IAEAに対する追加の情報提供を拒んでいる。IAEAのラファエル・グロッシ事務局長は7日付の別の報告書で「イランの核計画が絶対に平和的だという保証を提供できる立場にない」と指摘した。

 イラン原子力庁報道官は8日、「イランの平和的核開発は最も透明性の高い事柄だ」と主張したうえで、報告書について「政治的動機に基づく根拠のない指摘で、言葉遊び以外に新しい点はない」と反発した。(ベルリン支局 中西賢司、テヘラン支局 西田道成)

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