* * * 【前編:日本人研究者が効果を明らかにした「抗老化物質」 摂取で「抗しがたい眠気」も】より続く 渋谷:脳や体にはダメージがないですよね。NMNの研究は、薬などの研究と比べると脳へのアプローチが違うんですか。 今井:手法的にそんなに違うことをやっているわけではないんです。でも、老化はすごく長い時間にわたって少しずつ起こる現象なので、アプローチや見る視点がちょっと違うんです。乱暴なたとえになりますが、薬は状態が弱っているところをグッと引き上げますが、老化の場合は日々少しずつ落ちていくものを落ちないようにするアプローチが重要になります。ですから、本来足りなくて弱っているところに補充して、もともとあった状態に戻すということになるんです。 渋谷:脳や体力へのダメージのなさというのが新しいなと。今までなら、徹夜で作業をするときは滋養強壮剤やコーヒーを飲んだりしていましたが、後で必ずダメージが襲ってきて倍くらい疲れてしまう。もっと言うと、「このステージ、作品のために全てを懸けるんだ」という時に、アーティストは相当な無理を自分に課してきた歴史があって。それが極端な形になるとドラッグや過剰なストレス、死というような悲劇、神話にもなっていました。 ■疲労中は感動しない ただ、このような創造かダメージかという古典的な二項対立とNMNは根本的に異なっています。要するにダメージもダウンタイムもなく、調子が良く疲れにくくなるけど、抵抗できない眠気がやってくるので寝るしかない。それは元々体内にある成分を補充するというシンプルなサイクルだからなのかな?と思うのですが。
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