Wednesday, December 15, 2021

財務省文書改ざん自殺訴訟 国側が一転して賠償責任認め終結|NHK 関西のニュース - nhk.or.jp

財務省の決裁文書の改ざんに関与させられ自殺した近畿財務局の男性職員の妻が、国に賠償を求めた裁判で、国側は、15日の協議で、一転して賠償責任を認め、裁判は終結しました。

森友学園に関する決裁文書の改ざんに関与させられ自殺した近畿財務局の職員、赤木俊夫さん(当時54)の妻の雅子さんは、国と財務省の佐川元理財局長に1億1000万円余りの賠償を求める裁判を起こしています。
雅子さんはこれまでの裁判で、赤木さんが改ざんの経緯をまとめて職場に残した「赤木ファイル」などをもとに、「強く反抗・抗議したものの改ざんを執ように強要され、極めて強い心理的負荷にさらされていた」などと主張していました。
国側は、これまで争う姿勢を示していましたが、雅子さんの代理人の弁護士によりますと、大阪地方裁判所で開かれた15日の非公開の協議で、「赤木さんが強く反発した財務省理財局からの決裁文書の改ざん指示への対応を含め、森友学園案件に係る情報公開請求への対応などのさまざまな業務に忙殺され、精神面と肉体面に過剰な負荷が継続したことにより、精神疾患を発症し自殺した」として、一転して賠償責任を認めたということです。
そのうえで、国側は「いたずらに訴訟を長引かせるのは適切ではなく、決裁文書の改ざんという重大な行為が介在しているこの事案の性質などに鑑みた」として、裁判で争わずに賠償に応じる認諾という手続きをとったということです。
これにより、雅子さんと国との間の裁判は終結し、今後は佐川氏との裁判だけが進められることになりました。

【赤木さんの妻“不意打ちで頭が真っ白”】。
赤木雅子さんは裁判の目的は夫の死の真実を明らかにして、国の誤った対応で夫と同じように追い詰められる公務員を出さないようにすることだと繰り返し訴え、改ざんに関わった当事者たちが法廷で証言するよう求めてきました。
裁判の請求をあえて1億円を超える金額にしたのも国側が当事者たちに証言させなくてすむように請求を認めてしまう事態を避けるためでした。
ところが国は15日、これまでの姿勢を一転して、全額の支払いを受け入れる手続きをとり、一方的に裁判を終わらせました。
雅子さんは「お金を払えばすむ問題ではない。夫がなぜ死んだのか、なぜ死ななければいけなかったのかを明らかにするための裁判でした。財務省にひきょうなやり方で裁判を終えられてしまって不意打ちで頭の中が真っ白になりました。真実を知りたいという思いで国と闘ってきたが、このような形で裁判が終わってしまったことが悔しく、夫にどのように報告するか悩んでいます」と言葉を詰まらせながら話していました。

【首相“損賠全面的に認めた”】。
岸田総理大臣は、15日夜、総理大臣官邸で記者団に対し「財務省で訴訟を進めてきたところ、損害賠償について全面的に認めたものであるということだ。詳細は、財務大臣のほうで発言をさせていただくということで用意を進めている」と述べました。

【財務相“国の責任は明らか”】。
鈴木財務大臣は15日午後、記者団に対し「赤木さんが厳しい業務状況におかれる中、精神面、肉体面において過剰な負荷が継続したことにより、病気休職、自死に至ったことについて、国の責任は明らかとの結論にいたった」と述べました。
そのうえで、鈴木大臣は、「財務省を代表して高い志と倫理観を持ち、まじめに職務に精励していた赤木さんに改めて哀悼の誠をささげるとともに、ご遺族に対しては公務に起因して自死という結果に至ったことにつき、心よりおわびを申し上げるとともに、謹んでお悔やみを申し上げます」と述べました。
また、原告側が国側が一方的に裁判を終わらせたとしていることについて「新たな資料の提出を含めて可能なかぎり対応をして、民事訴訟を通じましてできるかぎり丁寧な対応に努めてきたと、そういうふうに思っております」と述べました。
さらに、鈴木大臣は「岸田総理大臣からは事務方を通じ、ご遺族とは本件とは別途の訴訟が継続中であり、引き続き丁寧に対応し、森友学園問題については今後もさまざまな場において真摯(しんし)に説明を尽くしていくようにとの指示があった」と述べました。

【国側が認めた理由詳細】。
国は、これまでに、原告の求めを踏まえ裁判所の訴訟指揮に従いつつ、労働時間や公務災害認定に関する資料、原告の夫が作成したファイル一式など、審理に必要な資料を可能なかぎり提出してきた。
令和3年10月、原告から、上記資料に基づく請求原因についての追加主張が一とおり行われたため、その内容も踏まえて検討したところ、原告の夫が、強く反発した財務省理財局からの決裁文書の改ざん指示への対応を含め、森友学園案件に係る情報公開請求への対応などのさまざまな業務に忙殺され、精神面および肉体面に過剰な負荷が継続したことにより、精神疾患を発症し、自死するに至ったことについて、国家賠償法上の責任を認めるのが相当との結論に至った。
そうである以上、いたずらに訴訟を長引かせるのは適切ではなく、また、決裁文書の改ざんという重大な行為が介在している本事案の性質などに鑑み、原告の請求を認諾するものである。

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