Sunday, June 11, 2023

ADBが3.5億ドルの融資を承認、経済安定化が目的(スリランカ ... - ジェトロ(日本貿易振興機構)

アジア開発銀行(ADB)は5月29日、スリランカの経済安定化のための予算支援として、3億5,000万ドルの特別政策支援型融資を承認外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。本プログラムは、スリランカに対するIMFの拡大信用供与(EFF)を軸とする、広範な金融支援パッケージの一環として実施される(注1、2022年9月5日記事参照)。深刻な経済危機に直面している同国では、高インフレにより購買力が低下し、生活にも影響が及び、従前の開発の成果が損なわれている(注2)。今般の支援措置は、経済の安定化と経済回復および持続的成長のための基盤整備を目的としている。

ADBはプレスリリースの中で、スリランカが内外の不均衡の原因に対処し持続可能な債務軌道に戻すための大胆な改革に着手しているものの、回復への長い道のりに直面している点に触れた。そして、税収の強化、財政管理の強化、国有企業の業績向上、中央銀行の自律性と独立性の確保、金融部門の安定性の確保、ガバナンス体制の強化など、必要な改革の実施に揺るぎない姿勢を保つ必要があると述べた。

さらに、これら施策の実施に当たり、十分な社会的保護を確保することが不可欠で、ガバナンス改革と汚職防止策の実施が重要になるとした。そのうえで、透明性とオープンなコミュニケーションも、改革に向けた合意を形成する上で極めて重要だと指摘した。

ADBは、政府、その他のステークホルダー、開発パートナーと積極的に関わり、構造的な障害への対処および将来の支援計画を支える姿勢を見せた。

ADBの浅川雅嗣(まさつぐ)総裁は、スリランカの深刻な危機が貧困層・社会的弱者の人々、特に女性に及ぼす影響への懸念を示した。そして、同国が自国の課題に対処し、経済の安定化や持続的な回復、包括的成長に向けて前進するに当たり、同国への協力に注力すると語った。

(注1)IMFは3月、スリランカに対し30億ドルの金融支援パッケージを正式に承認した(2023年3月22日記事参照)。本支援計画を進めるために、5月半ばまでに債務再編計画の最終案を提示し、9月までに債務再編プロセスを整備する必要がある(2023年5月25日記事参照)。

(注2)スリランカ・センサス・統計局は5月31日、5月のコロンボの消費者物価指数(CCPI)上昇率(インフレ率)が前年同月比で25.2%と発表した。コロンボのインフレ率は依然高いものの、急激な物価の高騰は一段落しており、物価上昇速度は鈍化傾向にある(2023年6月6日記事参照)。

(寺島かほる)

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