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元小学校教諭で話題作『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全』の著者でもある小嶋悠紀氏は、そんな状況をたびたび目にしてきたという。「しつけ」とはなにか…前編記事「「僕をバカ扱い」「ぜんぶ死刑」大人の指導が発達障害の子に負わせる「深刻すぎるトラウマ」」に引き続き紹介する。
学校生活の「楽しさ」を決める要因は何か
「しつけ」より勉強を! なんて書くとお叱りを受けそうですが、批判の前に、まずはぜひ、この記事を最後まで読んでみてください。
一般に、小学生は生活の大半を学校で過ごします。長期休みのときですら、登校日があったりします。彼らの生活の大半を学校が占めるわけです。何らかの事情で「学校に行けない/行かない」という子もいるでしょう。でも、そんな子たちのなかにもきっと、塾やフリースクールなど、学校のような場所に行って勉強し、仲間をつくって過ごしている子がいるはずです。
ということは、学校が楽しいかどうかは、子どもたちの生活の質を決める重要な指標になります。学校が楽しければ生活の質はあがり、学校が楽しくなければ、生活の質も下がるわけです。
私は、学校生活の楽しさを具体的にイメージするために、次のような式を意識しています。この式は、東京都の特別支援学校で主任教諭を務めておられる川上康則先生の著書『通常の学級の特別支援教育 ライブ講義 発達につまずきがある子どもの輝かせ方』(明治図書)に想を得て提唱したものです(川上先生の見解は、少し長くなるので末尾で解説します)。その式とは、以下のようなものです。
学習性達成感×学校生活達成感
ものすごくかみ砕いて書くと、
(1)学習性達成感とは、「勉強がどれだけできるか(または、できたか)」ということです。「がんばったら勉強ができるようになった」とか、小さな達成感や成功体験が積み重なって生まれる「自分は算数が得意だ/できる」というポジティブな感覚と言い換えてもいいでしょう。
(2)学校生活達成感とは、「勉強以外の活動がどれだけできるか(またはできたか)」ということです。係の仕事(たとえば給食係)にやりがいを感じていて、周囲からも認められているとか、友達とうまくやれているとか、あるいはクラスで行われるお誕生日会や、レクリエーションのようなイベントに楽しく取り組めている、などの感覚です。
これら(1)と(2)を掛け算したとイメージして、その結果の大きさによって、子どもたちのやる気とか、学習・生活態度とか、また、問題行動(周囲が問題視する望ましくない行動)が出るか否かが決まると思っています。
国語、算数など何でもいいのですが、「わかる」科目が多いほど、そして、がんばって「できた!」という体験を積んでいればいるほど、(1)は大きくなります。一方、「仲のいい友達がいる」とか、「係活動でクラスの役に立てている」など、勉強以外の活動の充実によって(2)が大きくなります。
この(1)(2)が大きければ大きいほど、子どもは「自分は学校生活でこんなにうまく過ごせている」と感じるでしょう。その感じが強いほど、子どもたちは意欲的になるし、学習態度、生活態度もよくなるはずですよね。そうやって学校への適応が進めば問題行動も減るはずなのです。事実、私は特別支援教室で、教室に適応できない子を何人も教えてきましたが、学習ができるようになると、子どもの行動にも必ずプラスの行動変容があらわれました。
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