Tuesday, June 20, 2023

政府税調増税先送りに警鐘答申原案十分な税収確保強調 - 読売新聞オンライン

 政府税制調査会(首相の諮問機関)が中長期的な税制のあり方を提言する「中期答申」の原案が判明した。財政赤字が続く中、現在の歳出を賄うのに十分な税収を確保する「租税の十分性」を強調している。少子化対策の財源確保で増税論を封印した岸田政権に「必要な租税負担を社会全体で分かち合わなければならない」と説き、一石を投じる内容だ。

 政府税調の答申は2019年以来、4年ぶりとなる。月内にも決定し、その後、岸田首相に提出する。

 答申原案では、日本の財政は社会保障費の増大で「多額の公債発行に依存している」と指摘し、「必要な税負担を将来に先送りすることは、経済的な効率性を損なうとの考えもある」と言及した。増税を避けていれば赤字国債の発行が増え、将来世代にツケを残すという考え方だ。

 答申の背景には、コロナ禍で急膨張した歳出に税収が追いついていない現状への危機感がある。国の一般会計で、戦後から平成初期にかけては、税収は歳出全体のおおむね8割を賄っていたが、2020、21年度には4割台まで落ち込んだ。

 政府税調の委員の一人は5月の会合で、租税の3原則である「公平・中立・簡素」に触れ、「十分性の原則を、四つ目の租税原則として打ち立てるべきだ」と指摘していた。

 答申原案では、個別の課題も挙げている。

 所得税については、フリーランスなど働き方が多様になる中、給与所得者と個人事業主が不公平感を抱かないようバランスを取ることが重要だとした。消費税に関しては「社会保障給付を安定的に支えるという点からも、今後とも重要だ」としたが、税率引き上げの是非には言及しなかった。

 特定の政策目的を達成するため臨時に税負担を軽くする「租税特別措置」については、「あくまで企業行動を促すための呼び水だ。成果を検証し、有効性が認められない場合には廃止が必要だ」と厳しく指摘した。

 首相は就任直後の21年11月、「新たな時代の動きに適切に対応した、あるべき税制の具体化に向け、包括的な審議を求める」と政府税調に諮問していた。

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