ロシア軍のウクライナ侵攻が拡大し、犠牲者が増え続けている。その責任は全て、侵攻を命じたプーチン露大統領にある。国際法にも人道にも反する侵略をただちにやめるべきだ。
先進7カ国(G7)は24日夜、テレビ首脳会議を開き、ロシアによる侵攻を「可能な限り、最も強い言葉で非難」する声明を発し、ロシア軍撤収を要求した。
日米欧は首脳会議後、追加の対露制裁をそれぞれ発表したが、「強力」と称する割には十分とはいえない。侵略をまねる国が今後出てこないよう、「力による現状変更」を試みたことをプーチン氏とロシアに後悔させる真に強力な制裁を急ぎ講じてもらいたい。
SWIFT排除を急げ
バイデン米大統領はホワイトハウスでの演説でプーチン氏を「侵略者」と糾弾し、ロシア最大手、2位などの主要行の米ドル取引制限や、軍事技術強化につながる先端技術分野での輸出規制、プーチン氏側近らの資産凍結などの追加制裁を発表した。
だが、ロシア経済に大きな打撃を与える効果を持つ、国際銀行間通信協会(SWIFT)の国際決済ネットワークからロシアを排除する案は見送った。バイデン氏は「欧州諸国が望んでいない」ためだと説明し、引き続き選択肢とする考えを示した。
欧州各国がエネルギー供給の多くをロシアに頼る弱みによるのなら残念だ。SWIFTからの排除やプーチン氏の莫大(ばくだい)な個人資産への制裁を科すべきである。
岸田文雄首相は25日に記者会見し、ウクライナ侵攻を「明白な国際法違反で、断じて許容できない」と批判し、ロシア軍の即時撤収を求めた。
追加制裁として、資産凍結と査証(ビザ)発給停止によるロシアの個人・団体への制裁、金融機関の資産凍結、ロシアの軍事関連団体への輸出規制を打ち出した。
だが、本気でロシアの蛮行を阻もうとする内容とは言い難い。
岸田首相は会見で、「G7をはじめとする国際社会と緊密に連携」、「米、欧州連合(EU)はじめ関係国と緊密に意思疎通を図り、情報交換」した上で制裁を決めたと繰り返した。
同盟国・友邦との連携、調整を表明するのはよいとしても、その前にもっと語るべきこと、取るべき措置があるのではないか。
岸田首相がまず語るべきは、侵略の張本人であるプーチン氏の責任である。にもかかわらず、記者会見や報道陣を前にして、プーチン氏を正面から非難していないのはどうしたことか。
林芳正外相は外務省にロシアのガルージン駐日大使を呼び抗議した。だが、目線を下に落として用意したペーパーを読むばかりでガルージン大使を見据えなかった。これでは日本が侮られる。
力強い発信できぬのか
岸田首相と林外相が日本の怒りをきちんと示せず、制裁も中途半端ではプーチン政権の侵略は少しも阻めない。一国を代表する自覚を持ち、弱々しい言動を改めなくてはならない。もっと毅然(きぜん)とした発信を求めたい。
自民党の外交部会などの合同会議では、制裁と両立しないとして対露経済協力の見直し論が高まっている。
日本固有の領土である北方領土はロシアに不法占拠されたままだ。そのうえウクライナも侵略したプーチン政権と、まともな平和条約交渉ができるわけもない。打ち切りが必要だ。北方領土をめぐる日露共同経済活動を即刻中止すべきなのはもちろんだ。
侵略国ロシアにエネルギー供給を頼るのは危険極まりないことも改めて分かった。ロシアのエネルギー関連産業との取引も停止しなければならない。
2016年5月に訪露した安倍晋三首相(当時)が提案して始まった、石油・ガスの開発協力など8項目の「日露協力プラン」も続ける意味はなくなった。岸田首相は同プラン凍結を宣言し、萩生田光一経済産業相から「ロシア経済分野協力担当」という無用の職務を外せばいい。
岸田首相は外国の動向をみて対応を決めるのでなく、国際社会の制裁を主導すべきだ。SWIFTからの早期排除も欧州諸国に積極的に働きかけたらどうか。国際状況に追随するのではなく、「国際秩序の守り手、創り手」として能動的に働く首相が必要である。
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