神戸市の理化学研究所のなどの研究チームによるスーパーコンピューター「富岳」を使った研究で、新型コロナウイルスのオミクロン株は、マスクをした状態であっても50センチ以内に近づいて会話をすると感染の可能性が高まることがわかりました。
神戸市にある理化学研究所などの研究チームは、新型コロナウイルスの飛まつの広がりをスーパーコンピューター「富岳」を使ってシミュレーションし研究しています。
今回は、従来株よりも感染力が強いとされるオミクロン株の影響を調べるためデルタ株の1.5倍の感染力と想定して、これまでに起きたクラスターの状況などをもとに、マスクをしていない場合とつけている場合で飛まつの広がり方の違いをシミュレーションしました。
その結果、15分間対面で会話したときの平均の感染確率は、マスクをしていない場合、50センチ以内の距離ではほぼ100%、1メートルの距離でおよそ60%となりました。
また、マスクをしている場合でも、50センチ以内の距離では14%あまりとなった一方、1メートル以上の距離ではほぼ0%となり、マスクをして会話をする場合でも十分な距離をとることが必要だとしています。
また、イベント時に隣に座った人と会話をしたシミュレーションでは、マスクをしていない場合、周囲の人に50%近い感染確率が確認され、マスクをした場合でも、隣の人は40%感染確率があることがわかりました。
一方で、距離をとって座った場合には、感染確率が低く押さえられるということです。
今回の研究結果から研究チームは、学校の授業などは、マスクをして十分な距離をとれば感染リスクは低いと指摘し、近い距離で会話することが増える休み時間は飛まつが充満しないよう、短時間で複数に分けて取ることも対策の一つだとしています。
理化学研究所の坪倉誠チームリーダーは「マスクをつけることに加え、人との接触時間や会話する距離をもう一度、原点に戻って考えてもらうことが重要だ」と話していました。
【飲食店の感染拡大リスクも分析】。
今回のシミュレーションでは飲食店での感染拡大のリスクについても分析が行われました。
シミュレーションはおよそ44平方メートルの飲食店で16人の客がマスクを外して1時間滞在し、感染している客の1人が大声で30分間会話するという想定で行われ、店内のエアコンや換気設備などが飛まつの拡散にどのように影響するのかを分析しました。
その結果、法律で店内に設置することが義務づけられている換気設備だけが作動している場合と、それに加えてエアコンも作動させた場合を比較すると、エアコンも作動させた方が空気がかき混ぜられることから、感染のリスクが2割から3割程度、減少することがわかりました。
さらに、ちゅう房の換気扇を作動させ、テーブルにパーティションを設置すると、リスクは3分の1程度まで下がることが分かりました。
坪倉誠チームリーダーは「社会全体として考えたときに一番平均化した方法で分析した。個別のケースではどこに高いリスクがあるのか分かればいろいろな対策がある」として、こうした分析を元に個別の店舗に応じた対策を実施することが重要だという認識を示しました。
【カラオケボックスの感染リスク】。
今回のシミュレーションでは、カラオケボックスで歌を歌う際に座る位置で感染リスクがどう変わるかも調べられました。
およそ8平方メートルの定員9人のカラオケボックスにマスクを着用せずに1時間滞在し、感染者が1人いた場合を想定しています。
定員いっぱいの9人では、全員が大声で歌い続けた場合、平均感染率は35%で、2.8人の新規感染者の発生が予測されましたが、1人ずつ自分の席で歌った場合には平均感染率は9%で、新規感染者数は0.7人に抑えられました。
また、グループを分割して、部屋に入る人数を減らすことで、感染リスクを低く抑えられることも分かりました。
さらに、排気口の下で1人ずつ歌った場合は、平均感染確率が4%、新規感染者数は0.3人と、自分の席で歌った時に比べ感染リスクを半減できるとしています。
研究グループは、歌う場所を決めることで、飛沫の発生か所が限定され、感染リスクの低減が期待できるとしています。
このほか、座席の位置で感染リスクは変わるほか、歌う人以外がマスクをすることで新規感染者の発生が2分の1から3分の1ほど低減できることが明らかになりました。
からの記事と詳細 ( オミクロン株 マスクで50センチ以内の会話は感染確率11%|NHK 兵庫県のニュース - nhk.or.jp )
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