宮城県内で2019年度に発生した食品ロスが8万8000トンに上ることが、県の初推計で明らかになった。県民1人当たり106グラム。コンビニのおにぎり1個分の食品を毎日捨てている計算になる。県は30年度までに、19年度比21%減の年間7万トン(1人1日当たり90グラム)を目指す削減推進計画を本年度内に策定する方針だ。
食品ロスの推計量は、廃棄物に関する国の統計から県がまとめた。内訳は生ごみなどを除く家庭からの食品ロスが年4万5000トン。事業者からの食品ロスは4万3000トンで、食品製造業と外食産業が各3割を占める。1日1人当たりの量は家庭系54グラム(全国平均57グラム)、事業系52グラム(67グラム)。
県によると、賞味期限切れによる廃棄や食べ残し、野菜の皮などの過剰な除去が主な原因。全国では年間約600万トンの食品を捨てているとされ、貧困や食料不足、処理に関わる環境負荷、食育など、さまざまな観点から課題がある。
19年10月施行の食品ロス削減推進法には、行政や事業者の責務が明記された。県は推計のほか、21年秋に県民と事業者に実施した食品ロスに関するアンケートを踏まえ、削減推進計画づくりを進めている。
今年1月に公表した計画の素案では「00年度比で30年度までに食品ロス半減」とする国の目標を基に、県の削減目標を設定した。教育現場での食育活動、困窮者を支援するフードバンク団体との連携を強めるとともに、県民には食材の保存や調理方法の工夫について積極的に情報提供する。
「食べきり」に協力するモデル店の認定、スーパーやコンビニで商品棚の手前から取る「てまえどり」を呼び掛ける資材の配布など、既存の取り組みも強化する。県循環型社会推進課の担当者は「消費者の身近な行動に結び付く情報発信を強めたい」と話す。
県は24日まで計画の素案についてのパブリックコメント(意見公募)を実施中。素案は県のホームページで閲覧できる。
関連事業者、発生量「把握せず」35・2%
食品ロスの削減推進計画策定に向け、県が昨年9、10月に実施したアンケートによると、食品関連事業者の35・2%は食品ロスの発生量を把握していなかった。
事業所数の多い業種別に見ると、飲食料品小売業の46・4%、飲食店の39・2%、食品製造業の20・3%が発生量を「把握していない」と回答した。
「食品ロスが発生している」と答えた食品関連事業者は82・1%に上った。原因としては、飲食店や宿泊業で「客の食べ残し」、百貨店・総合スーパーや飲食料品小売業は「賞味期限・消費期限切れで利用できなくなった」との回答が目立った。食品製造業では「試作品・検査品・サンプル」も多かった。
県民へのアンケートで、食品ロスを減らすために知りたい情報(複数回答)は、「食材の上手な保存方法」が66・0%で最多。「食材を無駄なく使い切る調理方法」が40・4%、「上手な冷蔵庫内の整理方法」が29・8%だった。
食品ロス削減に向けた小売店への期待(同)は「小分け商品、少量パック商品の充実」が60・7%。飲食店への期待(同)は「食べきれなかった料理の持ち帰り」が72・7%で最も多かった。
アンケートは県内の4000事業者と県民1000人に行い、それぞれ1085事業者(27・1%)、483人(48・3%)が応じた。
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