Tuesday, February 1, 2022

情報BOX:ミャンマー政変から1年、事態打開の道筋見えず - ロイター (Reuters Japan)

[1日 ロイター] - ミャンマー軍がクーデターによって国を掌握し、反対派の弾圧に乗り出してから1年になるが、軍は今も政権基盤を固めるのに苦心している。

武装集団と軍との紛争は再燃し、経済は大きな打撃を被った。国際社会は制裁と協調的な圧力を通じて軍を孤立させようとしているが、軍指導部が屈服する兆しはない。

◎政治対立の当事者

軍事政権は、自分たちが戦っている相手が、追放された政府と結託した「テロリスト」であり、彼らは外国の支援を受けて経済的な妨害工作に携わっていると批判してきた。

追放された議員と与党メンバーから成る並行政権、「挙国一致政府(NUG)」は、国軍に対する市民の蜂起を呼びかけている。

国外に追放されているNUGは、国際社会の支援獲得を模索し、ミャンマーの合法当局としての承認を働きかけてきた。和平プロセスへの参加も求めている。NUGはゼロ金利債券の販売などを通じて資金調達も行っている。

◎闘争の当事者

いわゆる「人民防衛隊」が国内のあちこちで結成され、国軍に立ち向かっている。初歩的な武器しか持たず、限られた訓練しか受けていない市民で作られた部隊だ。

これらの市民軍が完全武装の国軍に攻撃を仕掛けてきた。国軍は民間地域への砲撃や空爆など過剰な反撃を行い、大勢の人々が立ち退きを余儀なくされたと批判されている。

軍は大量殺りく、市民軍とその情報提供者の処刑に加え、村を焼き払うなど、残虐行為に及んだ例もあると、一部の活動家は指摘している。軍事政権は、そうした指摘は虚偽だと否定した。

クーデターを機に、国軍と一部少数派民族軍との敵対関係も復活した。軍と何十年も戦ってきたカチン独立軍やカレン民族同盟だ。NUGへの支持を表明し、市民軍の訓練を手伝っている勢力もある。

 2月1日、ミャンマー軍がクーデターによって国を掌握し、反対派の弾圧に乗り出してから1年になるが、軍は今も政権基盤を固めるのに苦心している。ミャンマー・ヤンゴンで2021年2月撮影(2022年 ロイター)

◎被害を受けた人々

国連によると、少なくとも1500人の一般市民が死亡し、1万1787人が軍事政権に抗議したとして不当に拘束された。人権団体がこれに類似した数字を示した際、軍事政権は否定している。

ミャンマー国内で居住地域からの立ち退きを余儀なくされた人は、推計で32万人。国連の人道機関によると、620万人が緊急支援を必要としている。

チン、カヤー、カレン各州とサガイン地域での戦闘から逃れた難民は、インドとタイの難民キャンプに向かった。

◎生活や経済への影響

状況がやや落ち着いたとは言え、クーデターによってミャンマー経済は大きく落ち込んだ。医療や教育などが深刻な影響を受け、公共・商業サービスは混乱に陥った。停電が以前より頻発し、インターネットが遮断されてビジネスに支障を来している。

零細事業は経済悪化の影響や与信を受けられなくなったことで、廃業や収入減に直面している。通貨チャットが昨年下落したことで物価が上がり、供給が妨げられた。続いて建設業を筆頭に、大量の失業者が発生した。

世銀によると、ミャンマーの輸出と製造業には回復の兆しがあるものの、クーデターの直接的な影響で経済は決定的に弱体化し、経済規模は30%も縮小した。世銀の予想では、2021―22年度の成長率はマイナス18%。

◎危機打開策はあるか

軍事政権は統治に苦心し、また、国際社会から強い圧力を受けてもいる。だが、交渉に応じる意向は一切示していない。政令の発動や、自ら定めた条件に則って選挙を行う計画を見直す姿勢も見せていない。

東南アジア諸国連合(ASEAN)は9カ月前に合意した和平のための「5つのコンセンサス」に基づき、国際社会を後ろ盾に外交努力を進めてきたが、とん挫した。主要加盟国は、軍事政権が合意を無視したと非難している。

ASEANは昨年10月以降、ミャンマー軍司令官らによる会合への出席を禁止。国軍トップのミンアウンフライン総司令官は対立収束に向けた誠意を一切示さず、ASEAN特使らが事態打開のために全ての関係当局に会うことも許さないと指摘した。

西側諸国は軍と大手財閥に制裁を科すとともに、ミャンマーへの武器輸出禁止を訴えている。軍司令部の重要な収入源であるエネルギーセクターを中心に、多くの多国籍企業がミャンマーから撤退している。

◎軍事政権の反応

軍は国際的な圧力を認識しながらも、屈服しない意志を表明している。

軍はASEANが不干渉の方針を逸脱し、西側諸国に左右されていると批判。国連およびその特使の不公平さと干渉、「わい曲された報道」への依存を非難している。

国際社会は政権の座を追われたアウンサンスーチー氏を解放するよう要求してきたが、軍事政権は同氏への有罪判決をさらに言い渡した。軍事政権は5段階から成る独自の民主化工程表を固持しているが、国際社会はこれを支持していない。

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