病気や障害のある家族や、世話が必要なきょうだいのために、大人に代わって家事や介護を担う「ヤングケアラー」。過剰なケア負担が、学校生活や将来にまで影響を与えることがないようにするため、私たちはどう支えていけばいいのでしょうか。
教員は介入困難 まず大人から
アンケートに寄せられた回答の一部を紹介します。朝日新聞デジタルhttps://www.asahi.com/opinion/forum/151/でも読むことができます。
●どこまで立ち入れるのか 教育現場にいるが、教員がどこまでできるのか、どこまで立ち入っていいのか考えてしまう。よほど学校生活に支障が出るまで周りも気づかない。まずはヤングケアラーが問題になっていることを広く知らせることから、だろうか。(兵庫県 60代女性)
●幅広い支援を願う ヤングケアラーの生徒に十分な教育を受けさせてあげられないまま卒業させることに教員も違和感を覚えているが、時間的にも物理的にも深く介入できない。幅広い公的な支援が広がることを願う。(千葉県 20代男性)
●学び直しの機会を 教育機会が減るなら、ケアが終わってから学び直せる、就業に必要なスキルを習得しやすくするなどして、社会が支えるべきだ。(東京都 50代女性)
●子どもの意見を聞いて 負担に感じるかどうかは子どもによって幅がある。大人ではなく、子どもの意見をすくえる取り組みが必要だ。(静岡県 40代男性)
●学校改革も必要 家族のケアは、よい経験という面もあると思うが、学業や友人関係にまで影響するのはよくない。気づいてあげるべき教師の負担が増えるので、クラスの人数を減らす、部活の外部委託など、学校改革も必要。(大阪府 60代女性)
●国民的議論を 子どもがケアせず済むような公的支援が望ましいが、社会保障費の増加や人手不足も気になる。持続可能な介護のあり方について、国民を巻き込んだ議論が必要だ。(神奈川県 30代女性)
●線引きは難しい 学生時代に母とともに家族を介護した。家事手伝いとケアの線引きはとても難しいし、家族のことを詮索(せんさく)されるのもつらい。つらいときに相談できる場、そのときに公的な支援を受けられることが、当時を思えば必要だった。(東京都 30代女性)
●大人への支援こそ 子どもにケアさせないといけない家庭は、大人だけではどうしようもないからそうなっている。その大人の支援をどうするか、大人の困窮を救う手立てがまずあるべきだ。(福岡県 40代女性)
●相談できる仕組み作って 公的支援や手続きは大人でもわからないことが多い。家族を世話する子どもが気軽に専門の人に相談できる仕組みをつくってほしい。(長野県 50代女性)
●地域の関係作り 行政機関に頼らなくても、地域で支援の手を差しのべることができる関係作りも大切だと思う。(広島県 10代女性)
取材後記
労働から家事、子育て、介護まで、1人の役割がすごく多くなっている――。ヤングケアラーを支援してきた黒光さおりさんの言葉があらわすように、家族の中で、家族を支えられる人が少なくなっています。その役割を、遊んだり、学んだりする機会が保障されているはずの子どもが担わざるをえなくなっている。英国で支援が進むヤングケアラーの存在が日本で知られるようになり、子どもが家族の世話や家事など相手を気遣い、さまざまな「ケア」を担っていることがわかりました。この状況は、家族のかたちの変化に対応しきれない制度や社会の課題を浮き彫りにしています。
進学や就職とケアが重なって困難を抱えながらも、当事者には家族を思う気持ちがあります。ケアを否定せず、どうしたら家族だけで責任を負わなくていいか、私たちもいっしょに考えていく必要があります。
病気や障害、貧困など、ぎりぎりの状況で生きる大人にも厳しい目を向けるのでなく、支援を届ける仕組みが広がってほしいと願います。(畑山敦子)
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来週27日は「『ネットいじめ』対策は」を掲載します。
アンケート「増える『ネットいじめ』どうすれば?」「子どもの悩み、どう向き合えばいい?」をhttps://www.asahi.com/opinion/forum/で募集中です。
からの記事と詳細 ( ヤングケアラーをどう支える アンケートから見える支援のかたち - 朝日新聞デジタル )
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