中国経済が鈍化するなか、化粧品需要は依然として底堅い動きを見せている。2022年1月17日に中国国家統計局が発表したデータによると、21年(1~12月)の化粧品小売売上高は前年比14%増の高水準を維持した。EC化の進展による地方需要の掘り起こしが続くことから、しばらくの間、化粧品ブランドの商機は増えそうだ。しかも、ビジネス環境は大きな変化が生まれようとしている。それは販促費の高騰に悩むブランド側にとって朗報になる可能性がある。
一つは、阿里巴巴一強が一段と崩れたことだ。中国当局から独禁法違反を指摘されるなど、21年は同社に逆風が吹き続けた。この好機を逃すまいと、競合プラットフォームが攻勢をかけ、トラフィック争奪戦が過熱している。化粧品カテゴリーの主役は、抖音(TikTok)である。抖音のユーザーは急増中で、平安証券研究所の試算によると、EC市場のシェアは、20年が1.6%、21年が5.2%。阿里巴巴は17年が77.0%で、20年が61.3%。21年は53.7%になっている。両社の差は、生活者の購買行動の変化で生じた。阿里巴巴が展開するモール型の天猫は目的買いが多い。「日本で売れている商品」「友達に薦められた商品」を探し求めて、ブランド旗艦店を訪れる。しかし、生活が豊かになった中国人は、自分の価値観、ライフスタイルに適した商品を欲している。抖音のショートムービーは、エンタメの動画を見ながら、自分の欲しいものに気づかせてくれる存在として支持を集めている。
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