伊勢原―鶴巻温泉間を走る小田急の電車。同社は両駅間の線路沿いに車両基地を新設する(編集部撮影)
神奈川県伊勢原市は人口10万人。東京のベッドタウンとして発展し、小田急電鉄にとって海老名、厚木、秦野、藤沢などと並ぶ、神奈川県内の沿線における主要都市の1つである。また、市の北西には小田急が箱根、江ノ島に次ぐ観光名所と位置付ける大山があり、小田急グループの神奈川中央交通が伊勢原駅と大山を結ぶ路線バスを多数走らせている。
小田急の中期経営計画では、「まちづくり」計画の「フック駅」として本厚木、海老名、藤沢といった駅名が出てくるものの、伊勢原駅の名前はない。つまり、小田急にとって伊勢原は定住人口を拡大させて通勤・通学利用客の増加を図る駅というよりも、観光客の増加を図る駅という考えだ。
そんな伊勢原市に、小田急が車両基地を造る。3月8日、伊勢原市庁舎で市と小田急が共同で発表した。
「大野総合車両所」の機能を移転
小田急はおよそ1000両の車両を保有している。主要機器の検査や動作確認を行う施設は、喜多見、海老名、相模大野にあるが、工場設備を持ち、ほぼすべての部品を分解して車両の細部まで大掛かりな検査を行う施設は相模大野にある大野総合車両所しかない。
大野総合車両所の開設は1962年。施設が経年60年を迎え、検査用設備が老朽化し、機能の更新を迫られつつあった。小田急の星野晃司社長は、「今は安全上の理由はない」としつつも、「今後も使い続けると長期的には検査用設備に故障が生じ、修理しようにも部品がないといったリスクがある」と話す。
現在の場所で検査業務を続けたまま、空きスペースに工場を建て替えるのは無理な相談だった。そもそも空きスペースがないのだ。大野総合車両所の面積は3.7万平方メートル。長い編成の車両の検査をするだけの十分な面積があるとはいえない。たとえば10両編成の列車はそのままの長さだと工場に入りきれないので、1両ずつにばらして工場に入れて検査し、検査が終わった後に再び連結するという手間をかけている。このような状況だけに、新築移転が必要と判断し、候補地を探していた。
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