Tuesday, January 3, 2023

ゾコーバは現時点で希望者ゼロ、パキロビッドは大人気 - 日経メディカル

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新薬ゾコーバ(一般名エンシトレルビルフマル酸)に対する期待にはずいぶんと温度差があるようだ。メディア間でも期待度が異なるようで、「これでコロナも安心」と言わんばかりの絶賛記事もあれば、他方では「過剰な期待は禁物だ」と訴える報道もある。

 「ここまで褒めちぎるか……」と僕が驚いたのは日経新聞の11月25日の社説だ。「自宅検査で(新型コロナの)感染の疑いがあるとわかった場合、医師が速やかに診断・(ゾコーバの)処方(を)する体制を国や自治体は整える必要がある」と、ゾコーバを国民全体が使用するのがあたかも当然のような論調だ。さらに、「(ゾコーバは)今年5月にできた緊急承認制度の初適用になった。コロナ禍のような感染症拡大の有事に薬やワクチンを迅速に審査する仕組みにもかかわらず、なぜ半年もかかったのか。塩野義が追加データを公表してからも2カ月を要した」と、まるで厚労省の怠慢でゾコーバの登場が遅れたかのような語気だ。

 一方、毎日新聞は11月24日の記事で「効果薄い」という言葉をタイトルに含め、全ての医師がゾコーバ処方に積極的でないことを指摘している。

 実際の処方はどうなのかというと、報道によれば12月12日の時点で既に全国で2600人の患者にゾコーバが投与されたようだ。だが、当院では本稿執筆時(12月25日)でいまだに「希望者ゼロ」だ。その一方で、パキロビッド(一般名ニルマトレルビル・リトナビル)は大人気で、重症化リスクがあればほとんどの患者が希望する。今回はゾコーバとパキロビッド、そしてラゲブリオ(モルヌピラビル)の特徴を改めて比較し、当院ではなぜゾコーバが不人気で、ラゲブリオも希望されず、パキロビッドばかりが求められているのかを紹介したい。

 初めに、極めて異例な経緯をたどったゾコーバ承認までの流れを振り返っておこう。

Adblock test (Why?)


からの記事と詳細 ( ゾコーバは現時点で希望者ゼロ、パキロビッドは大人気 - 日経メディカル )
https://ift.tt/CDth3yO
Share:

0 Comments:

Post a Comment