2022年9月26日、関節リウマチ(RA)治療薬のオゾラリズマブ(遺伝子組換え)(商品名ナノゾラ皮下注30mgシリンジ)の製造販売が承認された。適応は「既存治療で効果不十分な関節リウマチ」、用法用量は「成人に1回30mgを4週間間隔で皮下投与」となっている。
RAは慢性の炎症性自己免疫疾患で、日本では約60~100万人、世界には約2300万人以上の患者がいると推測されている。RAは手と足にその症状が現れるのが典型であるが、滑膜のあるどの関節でも発症する可能性がある。
RAの薬物療法には、従来から非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)やステロイドなどによる対症療法が行われてきたが、近年、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)が中心となり、発症の初期段階ではメトトレキサート(MTX;リウマトレックス他)が使用されるようになった。これらの治療で不十分な患者には、低分子標的薬としてヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬のトファシチニブクエン酸塩(ゼルヤンツ)などが用いられる。また、生物学的製剤としては、抗ヒト腫瘍壊死因子α薬(TNFα阻害薬)のインフリキシマブ(遺伝子組換え)(レミケード他)、エタネルセプト(遺伝子組換え)(エンブレル他)、アダリムマブ(遺伝子組換え)(ヒュミラ他)、ゴリムマブ(遺伝子組換え)(シンポニー)、セルトリズマブペゴル(遺伝子組換え)(シムジア)が用いられる他、T細胞刺激調節薬のアバタセプト(遺伝子組換え)(オレンシア)、サイトカイン阻害薬(IL-6受容体阻害薬)のトシリズマブ(遺伝子組換え)(アクテムラ)なども使用されている。
オゾラリズマブはTNFα阻害薬であり、既存のインフリキシマブなどと同様、TNFαに高い結合親和性を示し、TNF受容体に対するTNFαの結合を阻害することによりその生理活性を抑制する。同薬は他のTNFα阻害薬と異なり、2つの抗ヒトTNFαのナノボディ(ラマ由来重鎖抗体の可変領域から作成した単一ドメイン抗体)と1つの抗血清アルブミン(HSA)ナノボディを持つ三量体構造のヒト化融合蛋白質(低分子抗体)であり、分泌型ヒトTNFαに対する阻害活性と、膜結合型ヒトTNFαおよびHSAに対する特異的な結合能を有する、日本初となるヒト化ナノボディ製剤である。動物実験において、抗HSAナノボディを有する三量体は、ナノボディを有しない二量体に比べて血中半減期を延長し、さらに炎症組織への集積性が向上したことが報告されている。
MTX治療で効果不十分なRA患者を対象とした国内第II/III相二重盲検比較試験(MTX併用 3000-JA試験)、MTX非併用のRA患者を対象とした国内第III相非盲検試験(MTX非併用 3001-JA試験)において、同薬の有効性と安全性が確認された。
副作用として、主なものは上咽頭炎(5%以上)などがあり、重大なものは蜂巣炎(0.7%)・肺炎(0.3%)などの重篤な感染症、間質性肺炎(2.4%)が報告されており、結核(播種性結核)、ループス様症候群、多発性硬化症などの脱髄疾患、アナフィラキシーなどの重篤なアレルギー反応、再生不良性貧血を含む汎血球減少症などの重篤な血液障害の可能性があるので十分注意する必要がある。
薬剤使用に際しては、下記の事項についても留意しておかなければならない。
●他のTNFα阻害薬と同様に投与により、重篤な感染症、結核や脱髄疾患が発現・悪化する可能性があるので、患者選択及び投与中の臨床検査等の実施など十分な観察を行うこと(「警告」「禁忌」「重要な基本的注意」「特定の背景を有する患者に関する注意」を参照)
●医薬品リスク管理計画書(RMP)では、重要な潜在的リスクとして「悪性腫瘍」「免疫原性」「乾癬」「B型肝炎ウイルスの再活性化」「心不全の増悪」が挙げられている
からの記事と詳細 ( 難治性の関節リウマチに対する新規TNFα阻害薬 - 日経メディカル )
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