サブタイトルは「Spaceships on the Road in Japan──夜の闇に浮かぶ路上の宇宙船」。かつて日本の道路には、たくさんのデコトラが走り回っていた。それは過剰なエネルギーにあふれていた時代の象徴であると同時に、日本人のなかにある過剰な“なにか”の発露だった。この写真集がたんなるノスタルジーに終わらないのは、その過剰さを未来へと遺し、引き継ごうとする意思を感じるからだ。
『DEKOTORA』は、まちがいなく現代が生んだ極上のアートだ。でも、しかめっ面やわけしり顔で見る写真集ではない。その過剰さを笑い、そして元気をもらえばいい。1冊見終わるときには、極上の歌舞伎を観劇したような気分になれるだろう。トラックを輝かせ続ける男たちと、彼らの思いを美しい写真にしようと考えた写真家の過剰な思いだと考えれば、2.4kgも決して重くは感じない。
PROFILE
秦 淳司
フォトグラファー
赤坂スタジオ勤務後、小林和弘氏に師事。1994年からフリーランス・フォトグラファーとして、ファッションを中心に、『GQ JAPAN』などの雑誌や広告、アーティスト写真、動画など幅広く活動。
からの記事と詳細 ( “昭和の遺物”とわらうなかれ。すべてが過剰な写真集『DEKOTORA』 - GQ JAPAN )
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