Sunday, June 28, 2020

「VIVE Cosmos Elite」ハンズオンレビュー。初代HTC VIVEの後継機として十分なVRデバイス - Mogura VR

VRヘッドセット「VIVE Cosmos」の上位モデルとして登場した、「VIVE Cosmos Elite」。インサイドアウト方式だったVIVE Cosmosから一変、従来のVIVEでも採用されていたLighthouse規格のアウトサイドイン方式へ切り替わり、高精度なトラッキング性能を売りにしています。

「エリートゲーミングのためのPC VR」と銘打たれた本機ですが、果たして実力はいかほどのものなのか。本記事では、このVIVE Cosmos Eliteをレビューします。

ヘッドセット概要

まず大前提として、基本的な構造はVIVE Cosmosとほぼ同一です。

とりわけ重量と装着感はVIVE Cosmosから据え置きであり、頭部へフィットはさせやすく、一方で頭部に対し若干斜めにバンドを固定させるため、しっかり固定しないとズレていく可能性があります。フリップアップの便利さも健在です。

明確な違いはフェースプレート。これがLighthouse規格に対応したトラッキングモジュールです。このフェースプレートは単品でも販売されており、手持ちのVIVE Cosmosのフェイスプレートと交換するとVIVE Cosmos Eliteになる、というメカニズムになっています。

接続規格も同様に、USB 3.0とDisplayPort1.2の2つ。Mini DisplayPortでも稼働します。細かな変化として、これまで横長だったリンクボックス(写真左)が、VIVE Cosmos Eliteに付属するものは細長いもの(写真右)に変わりました。ほんの少しだけ省スペース化に貢献してくれるかもしれません。

今回のハンズオンでは、SteamVRベースステーション2.0 4台と、VIVE コントローラー (2018)を使用しました。ただし、VIVE Cosmos Eliteそのものはベースステーション1.0にも対応しており、商品に付属するものもベースステーション1.0となっています。

使用感は良好、体験の質は高い

解像度、視野角、リフレッシュレートなどもVIVE Cosmosと同一なので、基本的な見え方も全く同じです。両目2880 x 1700ピクセルという高解像度はとても快適で、発色も適切なので、長時間VR空間を見ていても負担は少ない方です。

では気になるトラッキング性能はどうかというと、往年のVIVEシリーズとほぼ同等。「Beat Saber」をはじめとした、激しい動作を伴うVRゲームにも難なく追従しました。難易度Expertだってなんのその。非常に安定したトラッキング精度です。

30分以上連続で動きのあるVRゲームをプレイしてみましたが、トラッキングが外れることもなく、比較的快適にゲームをプレイし続けることができました。画質の高さも相まって、全体的なVR体験の質は高めです。

将来性も備わったバランスの良い一台

総合的な使い勝手は、従来のVIVEと、VIVE Cosmosの中間といったところ。初代VIVEシリーズやVIVE Proシリーズにおける精度の高い外部トラッキングと、VIVE Cosmosゆずりの高解像度の双方を合わせ持ち、全体的にバランスのよいVRヘッドセットとなっています。ゆっくりと映像やVRライブを見たい場合でも、VRゲームを遊びたい場合でも、過不足なく応えてくれる一台です。一方、価格はフルセット税抜109,990円。同じくアウトサイドイントラッキングだった初代VIVEに比べるとやや割高となっている点は残念ですが、拡張性とトレードオフになっている、と考えるべきかもしれません。なお、通常版のVIVE Cosmosは89,882円(税別)です。

従来のVIVEシリーズと比較した場合、終売した初代VIVEの後継機としては十二分。一方でVIVE Proと比較した場合、だいたい同じ解像度ながら、ヘッドセットの構造の差異もあって甲乙つけがたいところがあります。

強いていうならば、VIVE Proは重量バランスも含めた装着感において軍配が上がる一方、VIVE Cosmos Eliteはフェースプレートの換装による互換性が予告されており、VIVE Cosmosがアウトサイドイン方式に対応したように、こちらもインサイドアウト方式へ対応するアドオンが登場する可能性があります。そうなった場合、一台でインサイドアウトもアウトサイドインも網羅できる、より汎用性の高い一台になり得ます。

他の競合ヘッドセットと比べて、現状では強くプッシュできる要素はないものの、バランス良く要望に応えてくれる一台であるのはたしか。特化していないぶん扱いやすく、追加モジュールによって別種のヘッドセットにも切り替わる拡張性も踏まえると、さまざまな用途で使い分けたい人向けの最初の一台としてオススメできる印象です。

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