<香港危機 「国家安全法」前夜(中)>
昨年6月12日、香港の抗議デモで警察が初めて催涙弾を撃ち込んだ。若者たちの平和的なデモに過剰な対応をしたとして、市民の怒りが警察に向けられた。
中高校教諭の頼得鐘(52)もネット上に警察への怒りをぶちまけた。しかし香港政府教育局や親中派議員からとがめられ、けん責処分を受けた。抗議活動が始まってから教職員への監視は厳しくなり、頼と同じようにネット上や新聞への投稿を理由に処分された教員は数100人に上る。
「学校が国家に対抗する暗黒の道になっている」(中国共産党機関紙、人民日報)。若者が抗議活動に続々と加わる事態に、中国政府は香港教育界への批判を強める。香港国家安全維持法案の概要は「香港政府は国家安全維持のため、学校や各種団体への監督や管理を強める」と明記した。
特に標的となるのが、頼が教える「通識教育」だ。詰め込み式教育からの脱却を目指し、時事問題などについて討論するが、天安門事件など中国本土でタブー視される問題も扱う。このため中国政府は「混乱の元凶」(同)ととらえる。
通識教育の教員が作った自前の教材が親中派メディアや教育局に持ち込まれるケースが相次ぎ、「反中国的」などと問題視され、教育局に説明を求められた教員も多い。頼は「自分の教材によっていつ処分されるか分からない」と案じる。
10年以上続く中国本土と香港の教員交流事業も中国による介入の色を強める。香港メディアによると、4月に本土で出された通知には「香港の教員を指導する教員の派遣」とある。派遣目的には香港で使われる教材の分析や、香港の教員の訓練も含まれていた。
5月には大学入試問題がやり玉に挙がった。「1900~45年、日本は中国に弊害よりも恩恵をもたらした」という見方の是非を論じる問題を巡り、中国国営新華社通信などが「日本の侵略を美化した」とかみつき、香港政府は問題を取り下げた。
一連の抗議活動で中高生の逮捕者は1600人。頼によると、同級生や友人が逮捕されてショックを受け、勉強に集中できない生徒がたくさんおり、海外の大学を目指す学生も増えているという。
頼は「助けを必要とする生徒はもっと増える」と教職を続けるつもりだが、教育現場は萎縮し、将来の生活を心配して転職を考える若手教諭も少なくない。頼は「香港政府や中国政府に不満を持つ生徒は多い。政府が圧迫しても不満は募るだけ」と訴える。 (敬称略、上海・白山泉)
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