楽天が送料無料化を強行する姿勢をみせている。過当競争に打ち勝つための策だが、一部出店者の反発も根強い。出店者の理解を得られないままの導入なら、経営判断を疑問視せざるを得ない。
楽天については公正取引委員会が十日、立ち入り検査をした。送料無料化が出店者に対する独禁法上の優越的地位の乱用にあたる可能性があると判断したためだ。
公取の結論を前に指摘したいのは、楽天が送料を出店者に負担させようとしている点だ。有料だった送料が無料になれば消費者の利益になる。しかし、なぜ出店者だけが負担せねばならないのか現段階では説明不足だ。
楽天の三木谷浩史会長兼社長は「(送料無料を)必ず遂行する」との考えだ。具体的には一店舗で原則三千九百八十円以上買えば一部大型商品以外の送料をなくす計画だ。この背景にライバルのアマゾン・コムとの厳しい競争があることは間違いない。
アマゾンは会員は無料、会員でなくても二千円以上購入すれば原則送料なしだ。アマゾンは自前の配送網を持っており、こうしたサービスが可能となっている。
アマゾンとの競争に向き合う楽天の立場は理解できる。だが、自らの競争条件を楽にするため出店者に負担を求めるのであれば共感できない。送料無料を「送料込み」という表現に変えるというが本質は同じだ。
楽天が配送網を整備するか、それに時間がかかるなら整備完了まで送料負担を出店者と分かち合うのが筋ではないか。
今回の判断について、出店者側の本音はなかなか見えにくいのが実情だろう。だが五万近い出店者の多くは小さな事業者だ。良い商品を持っていても、十分な販路がなく楽天に頼っているケースも多い。送料を負担すれば収益に影響が及ぶはずだ。
楽天など大手通販サイトは、各地の良質な産品を届けることで消費者に貢献してきた。その代表的な事業者が出店者と対立を抱えたままでは、企業イメージを損なう恐れさえ否定できない。
IT関連の経営者は、素早い決断が必要なためトップダウン型が多い。しかし今回は決断が強引過ぎるのではないか。
アマゾンとの競争は消費者には直接関係がない。消費者は自らの基準で通販サイトを選ぶ。消費者離れが起きれば事態は深刻化する。楽天には出店者とのより深い対話を期待したい。
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February 17, 2020 at 05:40AM
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楽天の送料無料 出店者への配慮十分か:社説・コラム(TOKYO Web) - 東京新聞
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