Sunday, February 16, 2020

救急隊員の感染「想定せず」 神奈川県と横浜市、十分な対策強調 発熱後も1件担当(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

 横浜市消防局の30代の男性救急隊員が新型コロナウイルスに感染していたことが14日判明し、神奈川県と市は同日深夜から15日未明にかけ、相次いで記者会見した。十分な対策をとっているはずの救急隊員の感染。「想定していなかった」(市川喜久江・県健康医療局長)と、県、市ともに驚きを隠さなかった。【樋口淳也、中村紬葵】

【新型コロナウイルス検査の流れ】

 隊員の感染について厚生労働省が発表したのは14日午後10時半過ぎ。隊員が横浜港大黒ふ頭(同市鶴見区)に停泊中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で感染が確認された患者の搬送を担当していたこともあわせて公表した。

 県はこれを受け、市川局長ら幹部が同11時半ごろから急きょ県庁で記者会見を開いた。隊員が搬送に携わったのは今月10日で、同日夜に発熱を確認していたことなどを説明。患者への対応から発症までが短時間であることから、「(患者からの感染は)考えにくい」との見解を示した。

 県は当初、隊員が患者の搬送に携わったことは認めたものの、具体的な職種などを明らかにせず「県内の自治体職員」とするにとどめた。だが、会見中に横浜市が記者会見を開くことを知らされると、同市職員であることを事実上認めるなどちぐはぐな対応をみせた。

 市は15日午前0時半から、高坂哲也消防局長らが市役所で記者会見。隊員が鶴見消防署所属で、10日の午後3時前に同僚2人とともに出動し、患者の対応にあたっていたことを明らかにした。隊員が同船の患者の搬送に関わったのはその日が初めてだという。

 隊員は高機能マスクやゴーグルなどの感染防護具を着用していた。市の担当者は防護具について「医療機関でドクターが診察するレベルのものを装着していた」と、十分な防護体制をとっていたと強調。着用状況も異常なかったという。

 発症後も別の救急搬送に携わっていたことも判明。市によると、隊員は10日午後11時前ごろに検温し、38度の発熱を確認したが勤務を続け、その後鶴見区内での救急搬送1件を担当していた。翌日未明になって体調不良から救急隊を外れ、その後14日に医療機関を受診するまで休みをとっていたという。

 発熱後も勤務を続けた理由について高坂局長は「人繰りができない場合などは、そのまま出動してしまう場合がありうる。今回はそういう形になってしまった」と釈明した。

 県内では感染した80代の女性の死亡が判明したばかり。集団感染が起きているダイヤモンド・プリンセスへの対応も続いており、県幹部の一人は「救急隊員の感染は衝撃が大きい」と語った。県や市は今後、隊員の行動歴などを詳しく調べ、必要に応じて検査や健康確認などを行う方針。

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