Saturday, January 23, 2021

「予想外にも開発は十分な金銭報酬を含む“契約”を提案し、我々は“公式”となったのです」―高評価RPG『Disco Elysium』韓国語有志翻訳チームインタビュー【有志日本語化の現場から】 - Game*Spark

『Disco Elysium』は記憶喪失の刑事が殺人事件を捜査するテーブルトーク風のRPG。

海外のPCゲームをプレイする際にお世話になる方も多い有志日本語化。今回は日本語化不可能とも言われる『Disco Elysium』を翻訳した韓国の有志翻訳チームに話を訊きました。日本語化の可能性や韓国の有志翻訳事情にも迫ります。

日本語化とは海外のゲームを日本語で遊べるようにすることです。その中でも、デベロッパーやパブリッシャーによる公式の日本語化ではない、ユーザーによる非公式な日本語化を有志日本語化(有志翻訳)と呼びます。一般的にボランティアで行われ、成果物は無償で配布されます。

有志日本語化には、デベロッパーやパブリッシャーが許可する範囲内で行われるものと、無許可のものがあります。許可されているものには、Mod(ユーザーによる改造)が公式に認められている場合や、直接許可を得ている場合などがあり、最近はインディーゲームを中心に有志日本語化が公式日本語版として採用される例も出てきています。


連載第13回は、その分量や構造ゆえに、日本語化不可能とも言われる『Disco Elysium』にまつわる内容です。先日、同作は韓国語に公式対応しましたが、これはなんと有志翻訳チームが担当した翻訳が公式化されたものとのこと。そこで今回は、同作を翻訳した韓国の有志翻訳チームに話を訊きました。

インタビューに応じてくれたのは、リーダーのボクシルボクシリ(복실복실이)氏、技術者のAkintos氏、翻訳者のgosusam氏の3名(すべてハンドル名)。복실복실は子犬などが太って毛深いさまを表す擬態語で、ボクシルボクシリ氏の名前を無理やり日本語に訳すと“もふもふちゃん”になります。

インタビュー中にも登場する『Disco Elysium』韓国語版トレイラー。

不可能を可能にした有志翻訳者の実像

英語力は必要不可欠ですが、母国語に精通していることが大切です

――有志翻訳に携わるようになったきっかけはなんですか?

gosusam氏韓国では『Fallout 4』が有志翻訳されています。私は翻訳されたゲームを楽しみましたが、一部の翻訳が気に入らず、ぜひとも改善したいと思っていました。幸運にも、有志翻訳チームが新しいDLCのために新メンバーを募集したので、私はそれに応募したのです。

Akintos氏私は『Frostpunk』で有志翻訳を始めました。韓国のコミュニティはゲームの文章を翻訳していましたが、韓国語フォントは作れていませんでした。私は日本語フォントを作成した日本のデベロッパーに連絡を取り、韓国語フォントの作り方を学びました。

ボクシルボクシリ氏私はトッド・ハワードで有志翻訳を始め、小島秀夫とともにそれを続けています。抽象的で馬鹿げた答えですが、それがこの質問に対する一番完璧な回答でしょう。

――なぜボランティアで活動しているのですか?

Akintos氏私はゲームが本当に大好きで、自分の体験を他の韓国人プレイヤーと共有したいと願っています。私は自分が面白いと思ったゲームだけを翻訳していますが、自分の好きなゲームがコミュニティで人気になるのは嬉しいですね。

ボクシルボクシリ氏理由なんてありません。ゲームを翻訳するのは子犬が自分の尻尾を追いかけるのと同じで、自分の生き方のようなものです。しかし、翻訳を続けるのは話が違います。それは人々の信頼と自分自身に対する責任です。

gosusam氏時折、報酬を受け取る場合があることは先にお伝えしておきます。私達は翻訳を始める前にデベロッパーに連絡するのが常ですが、大企業の大半には無視されます。しかし、一部の小規模デベロッパーは支援を申し出てくださることがあり、時として私達の翻訳は公式に認められます。その場合、報酬としてデベロッパーからなんらかのグッズを提供してもらったり、非常にまれなケースですが、十分な額の金銭をいただくこともあります。

――有志翻訳に一番必要な能力はなんだと思いますか?

ボクシルボクシリ氏やる気ですね。文章力も英語力も翻訳し続ければ向上しますが、やる気は違います。やる気は衰えますし、永久にわき続けるものでもありません。やる気をできる限り維持してください。そうすれば、いつか翻訳を成し遂げられるでしょう。

gosusam氏英語力は必要不可欠ですが、母国語に精通していることが大切です。私達の場合は韓国語ですね。完全な文学作品ではなくゲームの文章ですから、会話を通して読めば文脈を分析するのはそれほど難しくありません。しかし、読み取った“雰囲気”は母国語で届けなければなりません。本当の試練はここから始まります。

――どのように母国語で届けるのですか。

gosusam氏元の文章をありのままの状態で届けることに全力を尽くさなければなりませんが、母国語としてぎこちないのも避けるべきです。この大いなる矛盾を解決する唯一の方法は、母国語の知識を最大限活用することです。

――母国語の重要性はこれまでにインタビューした多くの翻訳者も指摘していました。

gosusam氏すべての翻訳者に共通の体験だと思います。精力的に翻訳を続けていると、会話は理解できているのに母国語で書き下せないことがよくあります。ご存知のように、言葉というのは文化的な体験が詰まった複雑なものです。文章に書かれていない全体的な雰囲気を母国語で届けるのは本当に難しいですね。

膨大で難解な文章、無数のストーリー分岐、主人公に語りかける複数の別人格など翻訳者泣かせの本作。

『Disco Elysium』はいかにして翻訳されたか

日本の有志翻訳者が翻訳の意志を示すならデベロッパーは満足の行く支援を提供します

――なぜ本作を翻訳したいと考えたのですか?

gosusam氏正直、もともと重大な動機はありませんでした。面白そうだったのです。本作には90万行を超える文章が詰まっていたので、あえて翻訳しようとする者は誰もいませんでした。さらに、文章は極めて文学的で、大変興味深い課題となっていました。文章量があまりに多く、デベロッパーが比較的小規模だったことから、決して韓国語に翻訳されることはないだろうとの懐疑的な見方が支配的でした。私達はそうした懐疑論に刺激を受け、本作を翻訳したのです。

――他にはどんな理由がありますか?

gosusam氏付け加えるなら、韓国人は本作の共産主義物語に奇妙な郷愁、あるいは好奇心を覚えます。禁じられたものを楽しむある種の背徳的な喜びですが、それほど真面目な話ではありません。

ボクシルボクシリ氏感動的な回答ですが、私は翻訳するのが難しいから挑戦しただけです。

――翻訳に影響を与えた本作の特徴を教えてください。

gosusam氏数行翻訳しただけで、すぐに本作がエストニア人に特有の歴史的体験が詰まったものだと気づきました。本作は単なるデタラメや純粋な空想ではなく、巧妙な寓話なのです。物語のライターは、いかにイデオロギーや戦争や権威がエストニア人に影響を与えたか、彼らがどんな状況に置かれたか、そして実際の人物を紹介してくれました。

――本作のデベロッパーZA/UMはエストニアの会社ですね。

gosusam氏エストニアはヨーロッパの文化にもロシアの文化にも属さない“境界地域”です。本作の体験自体は主観的かつ個人的なものですが、ある観点では、誰もが共感できる客観的で普遍的な記憶なのです。私達はこの独特で馴染みのない物語を、同じ母国語を話す人々に届けたいと心から思いました。

プレイ開始直後に表示される文章。本作の文学性が端的に現れている。

――本作の翻訳を行った“Team Waldo”(팀 왈도)を紹介してください。

gosusam氏Team Waldoは偶然インターネットのサブカルチャーとなった匿名の翻訳者集団です。なんらかのゲームを翻訳したいと思う人は誰でもTeam Waldoの名前を名乗ることができ、これはいわゆるハッカー集団「アノニマス」と基本的に同じ仕組みです。

私達は特定のゲームが好きなただのゲーマーで、それぞれのTeam Waldoは独立したものです。ですから、Team Waldoを名乗る他のチームとは同じ集団ではありません。

――名前の由来はなんですか?

gosusam氏Waldoという名前は『Might and Magic VI: The Mandate of Heaven』に登場するキャラクターに由来します。この作品は翻訳がどうしようもなく駄目だったため、口コミで一気に広まりました。やがてWaldoはミームになり、一部の人がその名前で翻訳者集団の冗談を言い始めました。そしてついに、ある有志翻訳チームがその名前を名乗り、現在に至ります。

――Team Waldoは翻訳したゲームごとに独自のロゴを作成するそうですね。その伝統はどこから来たものですか?

ボクシルボクシリ氏正確にはわかりません。私はTeam Waldoを名乗った最初の人間ではありませんし、最後でもありません。Wikiを読めばコミュニティの歴史がわかると思いますよ。実のところ、私達は自分のルーツを気にしていないのです。

『Disco Elysium』用に作られたロゴ(左)と『Fallout 4』用に作られたロゴ(右)

――今回の翻訳チームはどのように結成されましたか?

ボクシルボクシリ氏昔話なので少し事実を捻じ曲げるかもしれません。すべての伝説がそうであるように、それはとても謎めいた兆しから始まりました。不可解な記号と不条理な物語に始まり、壮大なクライマックスで終わる。要するに、私は『Disco Elysium』の翻訳に興味があり、Akintosも興味がありました。だから、個人的に連絡を取ってチームを結成したのです。

――有志翻訳が公式翻訳になった経緯を教えてください。

ボクシルボクシリ氏ある日、四つ葉のクローバーを見つけた私は『Disco Elysium』の公式Discordサーバーに入りました。そこでデベロッパーのライターと出会い、私達の翻訳が公式に採用されたのです。めでたしめでたし。

――他の翻訳者はどのように集めたのですか?

ボクシルボクシリ氏簡単なことです。私は他のゲームの翻訳を配布するためのブログを運営しているので、そこに『Disco Elysium』に関するお知らせを掲載しました。あとは親愛なる読者がコミュニティで情報を共有してくれたのです。

――何人の翻訳者がプロジェクトに参加しましたか?

ボクシルボクシリ氏約150人です。しかし、その半数は1週間も翻訳を継続しませんでした。そこで、私は翻訳者の数を絞り込み続けました。最終的に翻訳を終えたときには、翻訳者の数は20人ほどになっていました。

――日本の有志翻訳ではあまりない大人数ですね。韓国では普通なのですか?

ボクシルボクシリ氏いいえ。おそらくTeam Waldoと『Disco Elysium』のネームバリューに加えて、新型コロナが影響したのでしょう。

主人公の能力は4種類の値で表され、スキルチェックの成功率などに影響する。

――当初2年を想定していた翻訳がわずか5ヶ月で終わった理由はなんですか?

gosusam氏理由は二つあります。一つ目は、デベロッパーが予想外の金銭報酬を申し出たことです。契約上、正確な金額は明かせませんが、当事者すべてが互いに満足しているとだけは言わせてください。有志翻訳が公式翻訳に昇格しただけでなく、彼らはクレジットへの掲載権と報酬を提供してくれました。さらに、現在準備中の追加コンテンツも大きな動機づけになっています。

――予想外ということは、デベロッパーからの経済的な申し出は非常に特別なケースだと考えているのですね?

gosusam氏類まれなケースでしょう。金銭提供を受けたという話はいくつか聞いたことがありますが、そうしたものはほとんど“謝礼”の域を出ません。しかし、『Disco Elysium』のデベロッパーは本当の契約と呼べるものを申し出てくれました。

――海外メディアの報道によると、『Hades』のデベロッパーが有志翻訳者にプロと同等の報酬を支払った事例もあるようです。二番目の理由は?

gosusam氏二つ目は、デベロッパーが私達とのコミュニケーションにライターを割り当ててくれたことです。私達はGoogle スプレッドシートを共有し、そこで質問と回答のやりとりを毎週続けました。ライターの意図を尋ねるだけでなく、英語やヨーロッパの不慣れな表現を無数に質問できたのです。このことは大変な助けになりました。

――それは手厚い支援ですね。

gosusam氏時々、ネイティブの英語話者だけが理解できる創造的な表現に遭遇し、数日間行き詰まることもありました。そのような場合でも、単にそこの翻訳を飛ばして質問を残しておき、その物語に関わった当のライター本人から説明をもらった後に再開すれば良かったのです。

――デベロッパーからの報酬はどのようにして公平に分配したのですか?

Akintos氏私達はWeblateと呼ぶオープンソースの協同翻訳プラットフォームを利用しています。Weblateは翻訳者それぞれの行動を記録しているので、そのデータを元に各翻訳者の貢献度を計算できます。

gosusam氏私達は質と量の両方を評価します。技術者は各翻訳者が最終成果物にどれだけ貢献したかをカウントできるソフトウェアを開発しました。もちろん、この手法が完璧だと主張するつもりはありませんが、考えうる最善の方法でした。そして、誰も結果に文句を言わなかったのです。

――翻訳者間の協調はどのように行いましたか?

gosusam氏私達は物語の全体像をつかむため、急いで翻訳の草稿を作成しました。その間、メンバーの中に作業を妨げている者はいないか、ひどく効率の悪い者はいないかを観察していました。また、私達は翻訳上の不明点を議論しましたが、議論の場では制限や肩書きを設けませんでした。不明点をどう翻訳するかはリアルタイムに決定し、同意に達しなければ最終段階でリーダーがすべてを決定しました。

ボクシルボクシリ氏私は決定していません。彼らが自分自身で決めたのです。私がしたのは、Akintosに頼んで翻訳者に良い環境を作ってもらったことくらいです。

――多人数の有志翻訳でどのように翻訳の正確さや一貫性を維持したのですか?

ボクシルボクシリ氏正直、それは大問題でした。名前、人格、情報などを含む用語集を作成し、翻訳用のウェブサイトにリンクしました。入念に用語集を作り上げ、それを上手く維持するのが大切です。

gosusam氏一貫性はすべてと言っても過言ではありません。翻訳に一貫性がなければ、読者はゲーム中に不揃いな部分を感じ取り、プレイ体験から気が散ってしまうでしょう。そのため私達は第一にチームを管理可能な規模に維持しました。第二に成果物を均一にするためのルールを設定しました。第三に私達の技術者が開発した“対話シミュレーター”(後述)を利用しました。そうすることで、極めて効率的に物語の一貫性を確認し、維持できたのです。

――一貫性を維持するのに強いリーダーシップを発揮する必要はありましたか?

gosusam氏最終段階では約20人という小規模チームでしたから、メンバーは自発的に一貫性を維持していました。つまり、管理可能な規模だったのです。さらに、リーダーは『Fallout 4』の有志翻訳などでリーダー経験が豊富でした。

各能力値に対応するスキルは合計24種類。スキルは事あるごとに別人格として主人公に語りかける。

――主人公に語りかける複数のスキルや登場人物ごとに文体を変えましたか?

gosusam氏はい、その通りです。それぞれのスキルは固有の人格を持っており、それがこの作品における体験の中核をなしています。登場人物に関して言えば、ある者は慢性の精神疾患に罹っており、またある者は自らの深い哲学やイデオロギーを持っています。さらに、優しいお婆ちゃん、筋骨隆々な男性、非行少年といった人物の典型が登場します。

――そうした人格ごとに文体を割り当てたのですね。

gosusam氏それだけではありません。『Disco Elysium』に登場するすべての人物は、物語の展開とともに変化していく“ラウンド・キャラクター”であり、それ抜きに作品の味わいを届けることはできません。私達はシェークスピア風に語りかける特定のスキルに擬古体を用いることすら行いました。

――翻訳者の間でどのように同じ文体を共有したのですか?

ボクシルボクシリ氏答えはさっきの質問と同じです。用語集には翻訳の仕方や翻訳になにを含めるべきかの情報が入っています。

――用語集はスプレッドシート上にあるのですか?

gosusam氏はい。実際には用語集だけでなく、デベロッパーとの質問と回答のやりとりや、文体その他諸々が一緒になった巨大なシートです。

――先ほど話に出たWeblateという翻訳プラットフォームはそのシートとは異なりますか?

Akintos氏別のものです。Weblateはオープンソースの翻訳プラットフォームで、バージョン管理、翻訳履歴、ユーザー履歴、用語集、訳語提案、REST APIなど、多くの機能があります。こうした機能は有志翻訳を管理する上で非常に役立ちます。

――以前この特集で紹介したParaTranzに似ていますね。両者に直接の関係はありますか?

Akintos氏それは中国のものですね。関係はないと思います。Weblateは元々ソフトウェア翻訳ツールとして開発されたもので、ゲーム用ではありません。

――どのような方法で膨大なストーリー分岐を正しく翻訳したのですか?

Akintos氏“対話シミュレーター”と呼ぶ小さなソフトウェアを開発しました。ゲーム本体から抽出した対話データを直接利用して、ゲーム内の対話をシミュレートするソフトです。それぞれの対話には一意のIDがついているので、シミュレーターに対話IDを入力すれば、好きな場所から対話を開始することができます。

――それは非常に便利ですね。

Akintos氏さらに、翻訳サイトから自動的に翻訳データをロードして表示することもできます。ある行を翻訳したければ、文章をクリックするだけで翻訳ページが開きます。このソフトのおかげで、膨大な分岐を実際にプレイすることなしに翻訳できたのです。

『Disco Elysium』を翻訳するために開発された対話シミュレーターの動作画面。

――そのようなソフトをどのように開発したのですか?

Akintos氏難しいことはしていません。対話データは普通のテキスト形式で、アクセスが容易だったからです。『Disco Elysium』に公式なModサポートはなかったので、データをJSON形式で抽出するModを、任意のUnity製ゲームを改造できるBepInExフレームワークなどを用いて作成しました。対話データにはシミュレーターに必要なあらゆる情報が詰まっています。話者、対話ID、選択肢、そしてスキルチェックの難易度です。

――翻訳がゲーム中に正しく反映されているかの検証はどのように行いましたか?

Akintos氏翻訳データをゲームに適用するModを開発しました。そのModはゲーム本体のアップデートにより現在は使用できません。翻訳を終えた後、デベロッパーは翻訳をテストするためのベータ版とデベロッパーモードを提供してくれました。

――Modが使えなくなったのは残念ですが、最近プレイ中に言語を切り替える機能が標準搭載されましたね。

Akintos氏それがModをアップデートしていない理由です。もう必要ありませんから。

――本作の翻訳で一番難しかったことを教えてください。

ボクシルボクシリ氏信頼です。いつ翻訳が終わるかわからないことで、多くの者が途中で翻訳をやめて行きました。さらに、プロジェクトが長引くにつれて、翻訳者のやる気は激減しました。しかし、公式翻訳として受け入れられたことで、こうした問題は万事解決したのです。万歳!

gosusam氏セキュリティの問題ですね。これは自明だと思いますが、私達は契約を結んでおり、それに違反すれば契約は悪夢に変わります。私達は企業ではありませんから、もしそんな状況になれば民事上の紛争という巨大なリスクに直面します。

――プロジェクトの開始から公式契約という希望が見えるまでどのくらいかかりましたか?

ボクシルボクシリ氏有志プロジェクトを開始したのが2020年の1月で、公式プロジェクトになったのが5月です。実際にメンバーを集め始めたのは4月以降ですから、実質2ヶ月足らずですね。

スキルチェックはテーブルトークRPGのようにダイスを振って成否を判定する。

――韓国の有志翻訳者も日本の有志翻訳者もその精神は似ているようです。有志翻訳者は英語が得意ですから、お互いにコミュニケーションを取るのも難しくないでしょう。そこでお訊きしたいのですが、日本の有志翻訳者が本作を日本語化するための支援を求めたらどうしますか?

ボクシルボクシリ氏友人を増やすのは常に有効な戦略です。友人が増えることは可能性が増えることですから。もちろん全力で支援しますよ。

gosusam氏私は日本語能力試験でN1の成績を持っています。それほどすごいことではありませんが、きっとお互いのコミュニケーションに役立つでしょう。なにより、日本の有志翻訳者が翻訳の意志を示すなら、デベロッパーは満足の行く支援を提供するに違いありません。個人的には文脈の理解をはじめとして、できることはすべてお手伝いしたいと思います。

――心強い回答をありがとうございます。デベロッパーへの連絡方法を教えていただけますか?

gosusam氏リーダーはデベロッパーの公式Discordサーバーで連絡を取りました。特に裏口のようなものはありません。

ボクシルボクシリ氏お手伝いできることがあれば喜んでお手伝いします。私のメールアドレスdhrgusdlrns@naver.comまでご連絡ください。『Disco Elysium』に関しては、おそらく私がデベロッパーと日本の翻訳者の関係を取り持つのが早いでしょう。


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