新型コロナウイルスに感染し自宅で療養する人の中には、症状が悪化しても救急車の要請などをためらう人が出ています。
自宅療養中に亡くなるケースも相次いでいて、専門家は「決して我慢せず、早めに連絡してほしい」と呼びかけています。
関西に住む50代の男性は今月8日、高い熱が出たため新型コロナウイルスの感染を疑いPCR検査を受けたところ、陽性と判明しました。
男性は入院を希望しましたが、保健所からは「受け入れられる病院が見つからない」と連絡を受けました。
家では、50代の妻、それに20代の息子と娘のあわせて4人で暮らしていて、部屋を隔離したうえで自宅での療養となりました。
保健所からは健康状態を確認する連絡が1日に1回来ましたが、医師に診察してもらえないことに不安を感じたといいます。
男性は「悪寒がして体がガタガタ震えるような激しいせきが続いた。基礎疾患はないが、ひょっとすると急変して、死んでしまうのではないかという不安があった」と振り返っています。
しかし、もともと受け入れ先がないと言われていたので救急車を呼ぶことはせず、体調がかなり悪くなっても医師の診察を受けられないままやむをえず自宅で療養を続けたということです。
男性は「搬送先がないという状況が目に見えている状態だったので救急車を呼ぶことはできなかった。自分の体がどうなっているのか分からず、精神的にも追い込まれていた」と話しています。
男性が感染からおよそ1週間後に近くのクリニックを受診したところ、肺に炎症が起きていたということです。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、自宅で療養する人は増え続けています。
厚生労働省のまとめによりますと、自宅療養者の数は去年11月4日の時点では全国で1096人でしたが、およそ1か月後の12月9日には6429人に増え、さらに今月6日には1万7484人、20日には3万5394人と急増しています。
自治体によっては症状の悪化に早く気づくことができるよう、血液中の酸素濃度を測るパルスオキシメーターの貸し出しや、24時間看護師や医師が電話で相談に応じる窓口の設置など、さまざま対策が進められていますが、依然として十分ではないという指摘も出ています。
日本感染症学会の理事長で、東邦大学の舘田一博教授は「呼吸が苦しいとか、唇の色が紫になっているなどの危険な兆候については特に注意して観察する必要がある。中には自宅療養中に急激に悪化するケースもあるため、決して我慢をせず早めに救急や医療機関に連絡することが大事だ」と指摘しています。
また、患者が自分で適切な判断ができない場合も多いことから、医師などが直接自宅に訪問するなど対策を強化するべきだとした上で「自宅療養者を積極的に訪問して、顔を見てあげるだけでも安心につながるが、医療従事者が足りず十分な対応ができていない。地域によって感染拡大の状況や医療体制も異なるため、自治体が国と連携しながら対策を講じる必要がある」と話しています。
からの記事と詳細 ( 自宅療養「救急要請ためわずに」|NHK 首都圏のニュース - NHK NEWS WEB )
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