Thursday, June 18, 2020

思春期な“こじらせ”に寄り添うアニメ映画「泣きたい私は猫をかぶる」の「5つ」の魅力(ねとらぼ) - Yahoo!ニュース

 アニメ映画「泣きたい私は猫をかぶる」の独占配信が、6月18日にNetflixでスタートした。 【画像/動画】場面写と予告編  本作は“猫に変身する”というファンタジーを描いていながら、現実にある普遍的な悩みに真摯に向き合った、誰にでもおすすめできる作品として申し分のない内容だった。  特に、思春期の少年少女にこそ見てもらいたいと思う。脚本家の岡田麿里の作家性が存分に発揮されていることも、アニメファンには見逃せないポイントだろう。それらの理由と共に、作品の本質に迫る魅力について記していこう。

1:主人公は思春期の“こじらせ”まっただ中、“カラ元気”でいる女の子

 「泣きたい私は猫をかぶる」の特徴でまず挙げておきたいのは、主人公の中学二年生の女の子のキャラクターだ。彼女が思春期特有の“こじらせ”のまっただ中にいることは、物語で大きな意味を持つようになっている。  何しろ、彼女は思いを寄せる男の子に毎日のように過剰なアタックを繰り返したり、怒った勢いで2階から飛び降りようとしたりと、客観的に見ればおかしな言動ばかりをしている。その様子は変人を通り越して“無限大謎人間”と呼ばれるほどで、そのせいで“ムゲ”というあだ名がつけられてしまっていた。  ともすれば、感情移入しにくいエキセントリックな主人公に思うかもしれないが、そんなことはない。彼女の恋心そのものは純粋であるし、10歳の頃に両親が離婚し、現在は父とその婚約者と同居しているという複雑な家庭事情もある。やや常軌を逸しているように見える言動は、彼女なりの悩みを覆い隠すための“カラ元気”に見えてくるようにもなっているのだ。  事実、監督の1人である柴山智隆は、彼女の感情を演出にするにあたって「一見変わった子ですが、彼女自身はまわりの誰からも愛されていないと思っていて、実はまわりに気を遣って生活しています」とも語っている。  もちろん、「まわりの誰からも愛されていない」なんてことは、彼女の勝手な思い込みにすぎない。しかし、思春期特有の“こじらせ”としてはごく普通のことであり、それをもって似た悩みを抱えた人に優しく寄り添っている物語なのだ。

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