Tuesday, May 31, 2022

防衛費をGDP比2%に増やすのは当然 自民・大塚拓衆院安保委員長 - 東京新聞

<安保戦略見直し~私はこう考える>

  自民党は政府の安全保障戦略見直しへ提言をまとめた。中国や北朝鮮の行動は近年、明らかにエスカレートしている。日本は万が一の事態が起きた時の備えにおいて宿題が非常に多い。長年、防衛力に必要な経費を配分してこなかった蓄積だ。十分な備えがあってはじめて抑止力は働く。ロシアのウクライナ侵略も踏まえ、国と国民の命を守るために欠けていて、直ちに構築しなければならないことの多くを(提言で)網羅できた。

 従来の「敵基地攻撃能力」の名称は「反撃能力」に変更した。「先制攻撃も含む」と解釈する誤解の余地が残らないように意図を明確にするためだ。使用するのは原則、武力攻撃事態が既に発生し、わが国が攻撃を受けている状況だ。

記者の質問に答える自民党の大塚拓衆院議員

記者の質問に答える自民党の大塚拓衆院議員

  例えば相手が数百発の弾道ミサイルを持ち、迎撃が非常に困難なものも実戦配備する中では、弾道ミサイル防衛だけで全て撃ち落とすことは困難だ。すでに攻撃を受けている場合、反撃能力で飛んでくるミサイルの数を減らし、ミサイル防衛との組み合わせで防ぐことが必要になる。

 相手がわが国への武力攻撃に着手したことが確実だが、まだ実際に被害が発生していない段階でいかに対処するかは、非常に高度な政治判断で、時の政治リーダーが全人格をかけ判断しなければならない。

 防衛費を国内総生産(GDP)比2%に増やすのは当然だ。世銀のデータバンクによると、2020年のOECD諸国の平均は2.5%。日本はロシアと中国、北朝鮮に囲まれ、1%で十分なはずがない。数値目標でなく「必要なものを積み上げていくべきだ」というのは財務省の論法だ。

 憲法9条に由来する防衛姿勢が専守防衛だ。この言葉だけをいじっても限界がある。現行憲法下でわが国の安全が守りきれないということになれば、改憲の議論になる。(聞き手・佐藤裕介)

 ◇  ◇

 政府が、外交・防衛政策の根幹となる「国家安全保障戦略」など3文書の年内改定に向けて検討を進めている。自民党は4月、敵基地攻撃能力の保有や防衛費の大幅増を政府に提言。岸田文雄首相は「抜本的な防衛力の強化」を明言した。日本を取り巻く安保環境が厳しくなる中、武力による備えを強化して抑止力を高めるべきなのか、外交努力に徹するべきか。さまざまな考えを持つ与野党の国会議員や有識者らに聞き、幅広い意見を紹介していく。(随時掲載します)

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