仙台市青葉区の霊屋下地区周辺で4月下旬、ツキノワグマの目撃情報が相次いだ。現場はJR仙台駅からわずか2キロの住宅街そば。冬眠明けに十分な食料を確保できず、市街地まで行動範囲を広げたアーバンベア(都市型クマ)の可能性があると専門家は指摘する。(報道部・高橋諒、高橋葵)
霊屋下地区で今年初めてクマが目撃されたのは4月21日未明。広瀬川の河川敷の茂みで、1頭の目撃情報が警察に寄せられた。
24、26の両日も青葉区の瑞鳳殿近くの山林で、体長約1メートルのクマを住民が見つけて110番通報した。4月下旬に市に寄せられたクマの目撃日と場所は地図の通り。
ツキノワグマの生態に詳しい青井俊樹岩手大名誉教授(71)は、「草木が生い茂る河川敷はクマの移動ルートになる。目撃場所が近いことから同じクマが複数回見つかったのではないか」と推測する。
霊屋下町内会代表の増子昭宣さん(73)によると、同地区でクマが頻繁に目撃されるようになったのは2015年ごろ。20年にも5件の目撃情報があり、河川敷と遊歩道の草刈りを宮城県と市に要望したという。
霊屋下地区は住民の約9割がアパートやマンションに住み、1人暮らしの学生が多い。町内会では注意を呼びかける看板を設置したが、増子さんは「付き合いがあまりない若い世代に情報を届けるための方法を考えたい」と語る。
山中の餌不足すると都会に出没
県自然保護課によると、ツキノワグマは3月下旬~5月上旬に冬眠から覚める。春先は芽吹いたブナの葉や植物の根などを食べるが、十分な量を確保できないと餌を求めて行動範囲を広げるという。
県内では、ブナとミズナラが凶作だった19年と20年、クマの捕獲数が18年の3倍の250頭前後に増加した。山中の餌が不足すると、生ごみなどに味を占める都会に出没する「アーバンベア」化が進む恐れがある。
県自然保護課の担当者は、「クマは行動範囲が広いので、今回目撃されたクマが霊屋下周辺に定住しているとは考えにくい。ただ、山中で十分な食料が得られなかった場合、夏に向けてクマの出没が増える可能性もある」と警戒を呼びかける。
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