福島県が新型コロナウイルス感染防止対策を徹底した飲食店で使える電子決済型プレミアム商品券の追加販売を発表した18日、飲食業界からは客足の回復に期待しながらも、人員確保に不安の声が上がった。春の観光シーズンやゴールデンウイーク(GW)の帰省で外食需要の高まりが見込まれるが、「十分な接客ができるかどうか分からない」と危機感を抱く経営者もいる。アルバイトの主力となる学生には、感染リスクや雇用の不安定さを理由に飲食店を避ける動きも見られる。
「できれば、あと3人スタッフを増やしたいのだが…」。福島市置賜町の「福島ワイン酒場S2021」代表の鈴木勝幸さん(43)はシフト表を見つめ、悩ましげな表情を浮かべた。現在、社員とアルバイト合わせて6人でやり繰りしている。アルバイトは学業などを理由に休む場合もあり、スタッフが足りない。座席数を制限したり、鈴木さん1人で店を回したりすることもある。
コロナ禍前まではアルバイトの学生が後輩を紹介してくれることもあったが、学校活動の減少に伴い紹介が減った。ハローワークや求人サイトを活用して募集したものの効果は薄く、検索されやすくするための料金を求人サイトに支払った。だが、現時点で十分な人員を確保できる見通しは立っていない。電子決済型プレミアム商品券事業の再開により、客は増えると予想する。「万全の体制で店を運営できるよう、スタッフの数をそろえなければ」と焦りを募らせた。
福島県いわき市平の「やきとり十八番」は週末の夜を中心に客足が戻ってきたが、人手不足の影響が出ている。4人の店員で対応しきれず、やむを得ず入店を断る日があった。アルバイトの学生が年度替わりのタイミングで辞めたため、ハローワークや自社のホームページで募集した。勤務時間を短時間に限るなど試行錯誤を重ねるが、思うように集まらない。経営者の正木聡さん(51)は「なんとかやりくりしているが、苦しい」と明かす。
学生側には飲食店でのアルバイトをためらうケースがある。今春、会津若松市の会津大短期大学部に入学した瀧萌子さん(18)は学習教材代などを自分で支払いたいと考え、アルバイト先を探している。だが、酒類を提供する飲食店での勤務は感染リスクがあるのではないかと懸念する。「料理は好きだが、不安を持ちながらでは働けない。違う職種を考える」と話した。
県社交飲食業生活衛生同業組合によると、長引くコロナ禍で働き手が余り、従業員やアルバイトが離れた店も多いという。鈴木悦朗理事長(72)は「いつ休業になるか分からない雇用が続き、飲食店で働くことを避ける人も多い」と分析する。電子決済型プレミアム商品券の追加販売について「客足は増えるだろうが、対応できない店も出てくるのでは」と危惧する。
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