Sunday, April 10, 2022

「感じがいい」だけでは、なぜ上司として不十分なのか? - Lifehacker JAPAN

私が昨年読んだある記事に、とても心を動かされることが書いてありました。Mahfuz Ahmed氏が「Fast Company」で、こう書いていたのです。

思いやりがある組織は、革新的と評価される可能性が5倍になる。

ところが、上に立つ人の多くは、「本当の思いやり」と「感じ良くすること」を混同しているのです。

その2つの違いを示すために、例を挙げましょう。

私がビジネスランチをしている仕事仲間は、自分がいかに「感じの良い上司」であるかを好んで語ります。あるCEOは、誇らしげにこう言っていました。

「私は誰に対しても、いつも笑顔で挨拶するようにしていますよ」と。

けれども、愛想良くしたり礼儀正しくしたりすることと、思いやりをもつことの価値は同じではありません。

私がそれを知っているのは、10年以上前にスタートアップを立ち上げて以来、自分の会社をひとつにまとめてこられたのが、日々思いやりを実践してきたおかげだと気づいたからです。

思いやりとは、心づかいを行動で示すこと

前向きな職場の雰囲気をつくるためには、「感じが良い」だけでは大きくは進めないでしょう。感じがいいと、魅力的で親しみやすい印象を与えるだけです。

けれども、Ahmed氏はこう言っています。

感じがいいというのは、たいてい、周りの人の感情を損ねないように周りを喜ばせることや、礼儀正しくすることに重きが置かれています。

一方、「思いやり」というのは、実際に関心を示し、行動を取ることです。私にとってそれは、仕事で苦労していると訴える社員の声に耳を傾けるだけではなく、彼らの状況を改善するために実際の行動を起こすことです。

社員が精神的に辛い思いをしているなら、仕事の負荷を減らす方法を探し、少し休みを取るよう促します。

私がただ「感じがいい」だけだったら、そんな辛い目にあってお気の毒にと言って、それで終わりです。あなたがどう考えようと、思いやりとは「心づかい」なのです。

そして、その特定の資質が、私たちを成長させてくれます。

思いやりがイノベーションにつながる理由

私の会社では、一週間の締めくくりとして、毎週金曜日を定例の「デモンストレーションの日」にして、グループごとにプロトタイプを発表しています。

奇抜だろうと、バグだらけだろうと、決して厳しく批評されることはありません。実を言えば、批判されないからこそ、チーム同士で仲良く競争を楽しめるのです。

質問するときは、常に相手を励まし、応援する口調で行います。

この穏やかな、相手を思いやる姿勢が、より大きなイノベーションにつながる「才能の種」をつかむのに役立っていると、私は確信しています。

Ahmed氏の調査によると、「利益よりも思いやりを優先する組織の社員は、自分の今の仕事に意義や目的意識を感じる可能性が120%高く、新しい革新的なアイデアを考えたいという強く願う可能性が89%高い」という結果が出ています。

思いやりでリーダーシップを発揮するための3つの柱

1.礼儀よりも率直さを常に優先する

「思いやりがあること」と、「感じがいいこと」の大きな違いは何でしょうか。それは、後者が役に立たないことです。

仕事がうまくいっていない社員に対して、実際はいい仕事をしていないのに「よくやっているね」と言ったり、改善に向けた正しい道すじを示さなかったりするのは、思いやりがあるとは言えません。

なぜなら、根底にある対処すべき問題に、根本的には取り組んでいないからです。

注意してほしいのは、社員をみじめな気持ちにさせるような、ピリピリした話し合いをする必要はないということです。思いやりとは、自信をもって、相手を気づかいながら、率直に伝えることなのです。

2.話を聞くだけではなく、解決策を見つける

3カ月前のことです。私のチームのマギーが、「在宅勤務をしていると、自分がチームの一員だと感じるのが難しい」と言ってきました。

もし私が、ただの「感じのいい上司」だったら、彼女の話を最後まで聞いて、「心配することはないよ」と言っただけだったでしょう。

その代わりに私は、彼女に個人的なアドバイスをする「メンター」を1人割り当てたほか、Zoomミーティングのやり方についての新たな方針も作成しました。

在宅勤務でもオフィス勤務でも、すべての社員が、自分はチームの一員だという意識を高められるように努力したのです。

すでに述べたように、思いやりとは相手の役に立つことであり、解決策を見つけることなのです。

3.共感や同情と共に、リーダーシップを発揮する

私は自分のチームが、新型コロナウイルスのパンデミックの間に、数々の困難を経験した話を耳にしてきました。

どのメンバーも、それぞれ独自の状況を抱えています。

愛する人を亡くして計り知れない喪失感を味わった人もいれば、ずっと病に苦しんでいる人もいます。家族の世話という責任を負い、仕事と私生活のバランスが崩れてしまった人もいます。

上に立つ人に、ひとつ伝えることがあるとすれば、「感じがいい」というだけでは、組織を健全に保つために必要な、しっかりした土台はつくれないということです。

Mark Mortensen氏とHeidi K. Gardner氏は、『Harvard Business Review』に寄稿した記事で、コロナのせいで誰もが疲れ果てている、と指摘しながら、こう述べています。

上に立つ人は、社員のことはわかっていると決めてかかるのではなく、彼らが本当は何を心配しているのか、情報を集める必要があります。

私たちの目前の課題は、組織をしっかり運営することにとらわれるあまり、個々のチームメンバーとの1対1のかけがえのない時間を忘れてはならないということです。

メンバー同士のつながりを大切に育んでいないなら、あるいは、しっかりした信頼関係を着実に築いていないなら、リーダーシップをうまく発揮できるはずがありません。

前述した『Harvard Business Review』の記事には、こう書かれています。

1対1の会話は、相手が向き合っている複雑な状況を理解し、心からの同情を伝える上で理想的です。

私が信じてきたことも同じこと。

思いやりとは、積極的に相手のことを気にかけ、解決策を見つけ、大変な状況にある時も会話する時間を確保するという選択肢です。

結局はそれが、組織全体をひとつにまとめる接着剤の役割を果たしてくれるのです。

Source: Harvard Business Review

Originally published by Inc. [原文

Copyright © 2022 Mansueto Ventures LLC.

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