外務省は2022年3月7日、ウクライナ国境周辺を除くロシア全域の危険情報を4段階のうち2番目に高い「レベル3(渡航中止勧告)」に引き上げました。危険情報とは何か、危険度を引き上げた理由、ロシアとビジネスでつながりのある中小企業向けの注意情報も整理しました。
外務省が出す危険情報とは
外務省の公式サイトによると、「危険情報」は、渡航・滞在にあたって特に注意が必要と考えられる国・地域について、中・長期的な観点から治安、政治社会情勢などを総合的に判断し、安全対策の目安を知らせている情報のことです。
外務省は、安全対策について4つの目安(カテゴリー)に分類しています。
レベル1:十分注意してください
その国・地域への渡航、滞在に当たって危険を避けていただくため特別な注意が必要です。
レベル2:不要不急の渡航は止めてください
その国・地域への不要不急の渡航は止めてください。渡航する場合には特別な注意を払うとともに、十分な安全対策をとってください。
レベル3:渡航は止めてください(渡航中止勧告)
その国・地域への渡航は、どのような目的であれ止めてください。(場合によっては、現地に滞在している日本人の方々に対して退避の可能性や準備を促すメッセージを含むことがあります)
レベル4:退避してください。渡航は止めてください(退避勧告)
その国・地域に滞在している方は滞在地から,安全な国・地域へ退避してください。この状況では、当然のことながら、どのような目的であれ新たな渡航は止めてください。
ロシアのほぼ全域、渡航中止勧告へ
ロシアの各地域の危険度は次の通りです。3月7日に危険度を引き上げたことで、すでにレベル4(退避勧告)が出されているロシアとウクライナとの国境周辺地域を除き、ロシアの全域がレベル3(中止勧告)となりました。
レベル4(退避勧告)がすでに出されている地域
ウクライナとの国境周辺地域
これまでレベル3(渡航中止勧告)が出されていた地域
チェチェン、イングーシ、ダゲスタン、北オセチア・アラニア、カバルダ・バルカル、カラチャイ・チェルケスの各共和国及びスタヴロポリ地方
新たにレベル3(渡航中止勧告)が出された地域
ウクライナとの国境周辺地域、チェチェン、イングーシ、ダゲスタン、北オセチア・アラニア、カバルダ・バルカル、カラチャイ・チェルケスの各共和国及びスタヴロポリ地方を除く地域(首都モスクワ市を含む)
ロシアの危険情報を引き上げた理由
外務省はロシアのほぼ全域の危険度をレベル3に引き上げた理由について、以下のように説明しています。
2022年2月25日以降、ロシアに対する措置として、EU等の国々がロシア航空機の領空飛行を禁じ、またその対抗措置として、ロシアが自国の領空飛行を禁じる措置を取ったことから、航空便の運航停止が相次いでおり、2022年3月5日、ロシア政府は、ロシアの航空会社に対しロシアと外国との間の旅客輸送等の一時的停止を勧告しました。ロシア国内からの出国手段が著しく制限され、その影響で航空券の価格が急騰するなど、航空券の入手も困難な状況となっています。
また、クレジットカード大手のVISAとMasterは、ロシアでの決済事業の停止を発表するなど、当国の市民生活にも影響が出始めています。今後当地に滞在をする上で、経済措置による影響が強まり、種々の緊張した状況が生じ得ると見込まれます。
ロシアの危険情報【一部地域の危険レベル引き上げ】(外務省の公式サイト)
日本企業もロシアとの取引に注意
岸田首相は、欧米諸国とともにロシアに対し、様々な制裁措置を発表しています。
国際送金や輸出などに影響が出る項目は次の通りです。
- ロシア個人・団体に対する資産凍結・査証発給停止
- ロシアの金融機関を対象とする資産凍結
- ロシアの軍事関連団体に対する輸出、国際的合意に基づく規制リスト品目半導体や汎用(はんよう)品のロシア向け輸出禁止
- 国際銀行間通信協会(SWIFT)制裁に参加
中小企業向けには、相談窓口も設置されているので、リスクがある場合は早めに相談しておきましょう。
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