米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は28日、ロシアの新興財閥(オリガルヒ)の一人、ロマン・アブラモビッチ氏らが、3月初旬にあったロシアとウクライナの停戦協議に関する会合後、中毒の疑いがある症状に見舞われたと報じた。アブラモビッチ氏はプーチン大統領と近い関係で知られ、両国の仲介役として動いていたとされる。一方、ロイター通信は同日、中毒症状との見方に否定的なウクライナ側代表の見解を伝えた。
WSJによると3日の会合後、アブラモビッチ氏とウクライナ側の交渉チーム2人の計3人が目の充血や痛み、顔や手の皮がむけるなどの症状を訴えた。現在、体調は回復しているという。欧州を拠点にする国際調査グループ「ベリングキャット」も28日、3人について「化学兵器による中毒と同じような症状がみられたことを確認できた」と発表した。
ベリングキャットによると、3日午後10時ごろまであった交渉会合後、3人は滞在先のウクライナの首都キエフの部屋で発症した。数時間前にチョコレートを食べ、水を飲んだという。ベリングキャットは調査した専門家の見解として「定義されていない化学兵器による中毒の結果である可能性がもっとも高い」とした。また、毒薬の量や種類は致死量ではなかったとみられるとし「怖がらせることが目的」との見方を示した。
一方、ロイター通信は28日、米当局者の話として、アブラモビッチ氏らは「環境的な」要因で体調を崩したと報じた。停戦協議のウクライナ側代表を務めるポドリャク大統領府長官顧問が「多くの臆測、さまざまな陰謀論がある」と述べるなど、中毒症状との見方に否定的な見解を示しているという。
ウクライナのクレバ外相は国営放送で「ロシアとの交渉に行く人には、何も食べたり飲んだりせず、できれば表面に触れるのも避けることを勧める」と述べるとともに、「誰もがニュースや大騒ぎすることに飢えている」と過剰な報道にクギを刺した。
アブラモビッチ氏はウクライナ侵攻を巡る欧州連合(EU)や英国の経済制裁の対象となっており、サッカーのイングランド・プレミアリーグの強豪チェルシーのオーナーとしても知られる。【ロンドン横山三加子】
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