Friday, November 10, 2023

【プレビュー】展覧会「遠距離現在 Universal / Remote」 国立新 ... - 読売新聞社

遠距離現在 Universal / Remote
会場:国立新美術館 企画展示室1E(東京都港区六本木7-22-2)
会期:2024年3月6日(水)~6月3日(月)
休館日:毎週火曜日※ただし4月30日(火)は開館
開館時間:10:00~18:00
※毎週金・土曜日は20:00まで
※入場は閉館の30分前まで
観覧料:一般1,500円/大学生1,000円 ※高校生、18歳未満の方は入場無料
※チケット情報は後日、美術館ホームページ等でお知らせします。
アクセス:東京メトロ千代田線「乃木坂」駅青山霊園方面改札6出口(美術館直結)
東京メトロ日比谷線「六本木」駅4a出口から徒歩約5分
都営地下鉄大江戸線「六本木」駅7出口から徒歩約4分
主催:国立新美術館
国立新美術館HP:https://www.nact.jp/
巡回情報:熊本市現代美術館(開催中):2023年10月7日(土)~12月17日(日)、広島市現代美術館:2024年6月29日(土)~9月1日(日)

拡大し続ける社会、リモート化する個人、双方に焦点

パンデミックをきっかけに考えるようになった社会の在り方、その中の私たちの暮らしや労働など、様々な事象を、現代美術を通して考察する展覧会です。全世界規模の「Pan-」と、非対面の遠隔操作「リモート」の2つの視点から、グローバル資本主義や社会のデジタル化といった現代美術における従来のテーマを新たに捉えなおします。過剰な監視システムや精密なテクノロジーのもたらす滑稽さ、その中で生きる人間の深い孤独を感じさせる作品群は、今の時代、またポストコロナ時代の世界と真摯に向き合うものです。世界が注目する国際的なアーティストの作品が紹介されます。

国立新美術館で行われた記者発表会。右から出品作家の木浦奈津子さん、地主麻衣子さん、井田大介さん、ボードを挟んで担当学芸員の尹志慧さん、逢坂恵理子館長(11月8日)

「中学生にも分かる現代アートの展示に」

11月8日に行われた記者発表会で、担当学芸員の尹志慧さんは「資本と情報が世界規模で移動する現代社会のありようと、ひたすらリモート化していく個人の姿はパンデミックとその後で一層、鮮明になりました。両者は一見、矛盾しているようで相互補完的。双方の視点を踏まえて、現代アートからの応答を試みる展示です」と本展の狙いを説明した上で、「現代アートというと、膨大な文字情報を読ませ、難しさを強調してハードルを上げるようなアプローチもありますが、今展では中学生でも楽しめるよう、理解しやすい展示を心掛けています」と話しました。

同展は現代アートのジャンルに定評のある熊本市現代美術館、広島市現代美術館との共同で開催。国立新美術館の逢坂恵理子館長は「現代美術の振興と海外への発信強化は国立美術館にとって重要な課題。また公立美術館との連携強化も大切です。ウクライナやイスラエル、パレスチナなど世界情勢は厳しく、美術館をめぐる状況も難しいですが、こうした取り組みは続けていきたい」と意義を強調しました。

国際的なアーティストの作品を紹介

本展では内外の8人と1組のアーティストを紹介。海外を拠点に活動する作家の作品が多く出展されます。ニューヨークと北京を拠点とし、世界的に活躍する現代美術の巨匠、徐冰(シュ・ビン)による映像作品は注目です。

徐冰《とんぼの眼》2017年 ©Xu Bing Studio,Courtesy of the Artist
ヴィデオ、ライブ配信サイトで公開されている監視カメラ映像からの抜き出し(81分)

2010年代より現代美術の動向をリードしているヒト・シュタイエル(ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ、ミロス・トラキロヴィチとの共同制作)の作品は、ファッションをキーワードに、1989年のベルリンの壁崩壊から30年間の、格差という風景を永遠に見せ続ける資本主義の堂々巡りの旅を説きます。

ジョルジ・ガゴ・ガゴシツェ、ヒト・シュタイエル、ミロス・トラキロヴィチの共同制作《ミッション完了:ベランシージ》2019年 3チャンネル・HDヴィデオ(カラー、サウンド)、展示空間(47分23秒) 展示風景「ヒト・シュタイエル」ノイエ・ベルリナー・クンストフェライン(n.b.k.) 2019年 Courtesy the artists; Neuer Berliner Kunstverein, Berlin; Andrew Kreps Gallery, New York; Esther Schipper, Berlin Photo © Neuer Berliner Kunstverein (n.b.k.) / Jens Ziehe

最先端の科学技術と現代美術を融合するトレヴァー・パグレン、多様なメディアにおける芸術制作に、ハッカーの哲学を応用するエヴァン・ロスによる作品も象徴的です。

トレヴァー・パグレン《米国家安全保障局(NSA) が盗聴している光ファイバーケーブル の上陸地点、米国ニューヨーク州マスティックビーチ》2015年
©Trevor Paglen Courtesy of the artist; Altman Siegel, San Francisco; and Pace Gallery, New York
エヴァン・ロス《あなたが生まれてから》2023年 ©Evan Roth
展示風景:「あなたが生まれてから」ジャクソンビル現代美術館 2019年 Courtesy of the MOCA Jacksonvill Photo by Doug Eng

《あなたが生まれてから》は、自身のコンピューターのキャッシュに蓄積された画像を使用。本人も知りえない〝自画像〟を明らかにします。

フォト・ジャーナリズムとファインアート、アクティヴィズムの領域を横断するデンマークの写真家であるティナ・エングホフ、韓国の新進気鋭の映像作家、チャ・ジェミンの作品は日本で初めて紹介されます。

ティナ・エングホフ《心当たりあるご親族へ――男性、1954 年生まれ、自宅にて死去、 2003 年2 月14 日発見》2004 年 ©Tina Enghoff Courtesy of the Artist
チャ・ジェミン《迷宮とクロマキー》2013年 ©Jeamin Cha ,Courtesy of the Artist

本展の2つのキーワードをまがたるのは地主麻衣子の作品。井田大介と木浦奈津子は本展のために新作を交えた構成を行いました。

地主麻衣子《遠いデュエット》2016年 ©Maiko Jinushi, Courtesy of HAGIWARA PROJECTS
井田大介《誰が為に鐘はなる》2021 年 ©Daisuke Ida, Courtesy of the Artist
木浦奈津子《こうえん》2021年 ©Natsuko Kiura, Courtesy of the Artist. Photo © EUREKA

(美術展ナビ編集班 岡部匡志)

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