多賀少年野球クラブの辻正人監督が強調「早いうちから正しいフォームを」
日本一3度を誇る滋賀・多賀少年野球クラブでは近年、幼児を中心にした初心者の指導に重点を置いている。野球を始めたばかりの子どもたちへの指導で、特に大切になるのは「投げ方」。フォームの修正には時間がかかるため、早い段階で怪我を防ぐ正しいフォームの習得が不可欠だという。チームを率いる辻正人監督は、子どもたちでも理解できる言葉や手順で投げ方を教えている。
野球を始めると、まず取り組む練習がキャッチボール。プロ野球選手も重視するほど野球の基本が詰まった練習だが、未経験者や初心者が、捕り方や投げ方を教わるケースは意外と少ない。その中で誰もが球速にこだわるため、自己流の投げ方では肩や肘に負担がかかり、怪我のリスクが高くなってしまう。辻監督は「野球歴が長くなると投げ方の修正に時間がかかってしまうので、早いうちから正しいフォームを身に付けることが大事だと考えています」と話す。
多賀少年野球クラブでは、幼児や野球未経験者に対して、1つ1つの動きを柔らかい言葉で教えている。練習は土日祝日に限られるため、自宅で復習できるように、練習見学に来た保護者にもポイントを説明する。辻監督は次のように伝えている。
1、両足を肩幅に開く。
2、両手を頭の後ろに持っていき、三角形をつくる。
3、グラブを持つ方の手を下ろす。
4、投げる方の肩甲骨を中心に寄せながら体をひねる。
5、おじぎをするように投げる方の腕を振る。
この動きを基本にして、最も体に力が入るパワーポジションのつくり方や、軸足から踏み込む足への体重移動などを教えていく。理想の形を覚えるには反復練習が必要になるため、幼児や初心者を指導する時は毎回メニューに取り入れて動きを確認している。辻監督は「ボールを投げる練習はキャッチングやバッティングと違ってボールへの恐さを感じないので、未経験者でも楽しめるメリットがあります」と語った。
多賀少年野球クラブも含めて、少年野球界では練習や練習試合でも球数制限を設けているチームが増えている。さらに、肩や肘に負担をかけず無駄なくボールに力を伝えるフォームを早い段階から習得すれば、野球の楽しさは膨らむ。
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