国連安全保障理事会は15日、パレスチナ自治区ガザでの戦闘の人道的な休止と、イスラム組織ハマスに拘束された人質全員の解放を求める決議を採択した。紛争が始まって以来、同様の決議案が４回否決されていた。
国連および、ヨルダン、トルコを含む中東諸国は、ガザでの戦闘が激化する中、イスラエルがガザ地区の主要医療機関、シファ病院を急襲したことを非難した。
イスラエルは、同国軍兵士が病院で武器などの軍事物資を発見し、イスラム組織ハマスが基地として利用していたことを示すものだと主張した。
イスラエルで戦時内閣に参加しているガンツ前国防相は、同国がハマスの指導者を「世界中で」殺害すると表明した。国連は、イスラエルが制限緩和に同意した後も、支援トラックが活動継続に十分な燃料を受け取っていないことを明らかにした。
ガザ地区のシファ病院
Photographer: Maxar Technologies/AP Photo
国連安保理、ガザ戦闘休止求める決議採択
国連安保理はガザでの戦闘の人道的な休止と、ハマスに拘束された人質全員の解放を求める決議を採択した。理事国15カ国のうち12カ国が賛成し、米国とロシア、英国は棄権した。
決議案は国連機関や非営利団体が必要不可欠な物資やサービスを市民に届けることができるよう「ガザ地区全域での緊急かつ長期の人道的な戦闘休止と回廊」を要請するとともに、「ハマスなどの組織に拘束されている人質全員、特に子どもの即時かつ無条件の解放」も求めている。
イスラエル軍、シファ病院で武器発見と発表
イスラエル軍はガザ地区にあるシファ病院に15日未明に突入し、ＭＲＩ棟でハマスの司令部と武器などを発見したことを明らかにした。兵士らは同病院でハマスのインフラと資産の捜索を続けている。イスラエル軍のコンリクス報道官は今回の発見は、ハマスが軍事作戦に病院を利用し国際法に違反したことを裏付けるものだと述べた。
ホワイトハウス、「特別な注意」を要請
米国家安全保障会議（ＮＳＣ）のカービー戦略広報調整官は、イスラエル軍はシファ病院周辺での作戦に「特別な注意」を払わねばならないと述べ、「この施設は、ガザ住民の正当な医療ニーズに応える合法的な病院だ」と指摘。その上で、イスラエルはハマスに対し「病院から投降」を要求する権利があるとも述べた。
シファ病院周辺のイスラエル兵（11月15日）
Source: Israel Defense Force/AP Photo
イスラエル、「テロ国家」発言でトルコ大統領を非難
イスラエルのコーヘン外相は、トルコのエルドアン大統領が与党議員向けのスピーチでイスラエルを「テロ国家」と呼んだことを非難。コーヘン外相はＸ（旧ツイッター）への投稿の中で、「テロリストを受け入れ、テロ組織を奨励する者たちは、イスラエル国家に道徳を説くべきではない」と述べた。
国連、ガザへの燃料輸送は不十分
国連はパレスチナ難民救済事業機関がエジプトから約２万3000リットルの燃料を受け取ったことを明らかにした。同機関のガザ駐在ディレクター、トーマス・ホワイト氏は「これは人命救助活動の継続に毎日必要な量の９％に過ぎない」とＸへの投稿で述べた。
ヨルダン、ガザの病院「急襲」を非難
ヨルダン外務省は、イスラエル軍がガザのシファ病院を「急襲」したことを非難し、「国際人道法違反」だと指摘した。国営ペトラ通信が報じた。同省は、病院にいた民間人と医療従事者の安全についてイスラエルに責任を問う考えを示したという。
原題： Israel Latest: UN Security Council Backs Call for Gaza Truce (抜粋)
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