Thursday, November 9, 2023

教育現場の法務相談「保護者の過剰な苦情や不当要求の対応」最多 ... - 教育業界ニュース「ReseEd(リシード)」

 スクールロイヤーに対する法務相談案件のうち、特に多い内容が「保護者等からの過剰な苦情や不当な要求に係る対応」であることが、文部科学省が実施した調査結果から明らかになった。ついで、「いじめにかかる対応」も相談件数として多くなっている。

 虐待やいじめ、学校や教育委員会への過剰な要求や学校事故への対応など、教育現場において法務の専門家への相談を必要とする機会は増加している。特に、学校現場では事案が訴訟などに発展してしまう前に、初期対応の段階から予防的に弁護士等(スクールロイヤー)に関わってもらうことで、速やかな問題解決や教職員の負担軽減が期待されるとして、2020年度(令和2年度)からは、都道府県および指定都市教育委員会における弁護士等への法務相談経費について、普通交付税措置が講じられている。

 文部科学省は2023年11月9日、「教育行政に係る法務相談体制の整備等に関する調査結果(令和4年度間)」を公表。全都道府県・市区町村の教育委員会における、法務相談体制の整備などについて調査した結果を取りまとめた。調査時期は2023年7月。47都道府県教育委員会、20指定都市教育委員会、1,718の市町村等教育委員会を対象に、2022年度(令和4年度)間または2023年3月31日の状況について調査を行った。

 専ら教育行政に関与する弁護士(以下:スクールロイヤー)に相談できる体制がある自治体は、都道府県83%、指定都市80%、中核市64.5%、市町村等(中核市を含む)では11.3%となった。法務相談経費に普通交付税措置が講じられるようになった2020年度から2022年度までに、都道府県では相談体制の構築が約15%向上、8割を超えて整備が進んでいるが、市町村等(中核市を含む)では2020年度から2022年度までに整備が3.1%しか進捗しておらず、全体で1割程度となっている。

 自治体の顧問弁護士等を含むスクールロイヤー以外の弁護士に相談できる体制は、都道府県、指定都市、中核市で100%。市町村等(中核市を含む)も88.5%と、専門のスクールロイヤー未配置の教育委員会であっても、その多くは自治体の顧問弁護士等の弁護士に相談できる体制を有している。

 スクールロイヤー未配置の教育委員会において、今後新たにスクールロイヤーの設置を検討している割合は、都道府県50%、指定都市75%、中核市27.3%、市町村等(中核市を含む)6.3%。中核市、市町村等(中核市を含む)において、スクールロイヤーに相談できる体制の構築を検討していない理由としてもっとも多いのは「自治体の法務全般に関与する顧問弁護士で十分対応できているため」、ついで「予算の確保が難しいため」となった。

 スクールロイヤーに相談する案件について複数回答で調査したところ、すべての自治体で「保護者等からの過剰な苦情や不当な要求に係る対応」がもっとも多く、都道府県76.9%、指定都市93.8%、中核市90.0%、市町村等(中核市を含む)74.2 %という結果に。

 加えて、都道府県と中核市では「過剰・不当には至らない保護者等からの苦情や要求に係る対応」、指定都市では「いじめにかかる対応」が同率で最多となり、市町村等(中核市を含む)においても同じく「保護者対応」と「いじめ対応」がほぼ同数の相談件数として上位に並んだ。保護者対応といじめ対応が多くの自治体で課題となっていることがうかがえる。

 このほか、スクールロイヤーの確保方法や報酬の支払い方、スクールロイヤーへの相談手順などについての調査結果を掲載。調査結果の詳細は、文部科学省Webサイトから確認できる。

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