国土交通省が国の統計の中でも特に重要な「基幹統計」のデータを書き換えていた問題。明るみになってからおよそ1か月がたち、弁護士などの第三者による検証委員会が14日、報告書を公表しました。重要な統計データの不適切な取り扱いはなぜ起きたのでしょうか?そして見えてきたこととは?
まずは、この統計の調査方法を簡単に説明しますね。
事業者はまず紙の調査票に1か月分の受注額などのデータを書き込みます。
そして翌月の提出期限の日までに都道府県に提出し、都道府県を通じて国土交通省がデータを集める仕組みになっています。
問題は、提出が遅れた調査票のデータの扱いをめぐって起きました。
国土交通省は2013年度にデータの新たな処理方法を導入ました。
新たな方法では、期限までに提出がなかった事業者の実績をゼロとはせず、推計の受注額を計上することにしました。
ところが、処理方法が変更されて以降も、都道府県へのデータ書き換えの指示を撤回しなかったことから、新たに入力されるようになった推計値と、従来行っていた書き換えで合算したデータとが二重で計上されていたのです。
検証委員会の報告書はいくつかの再発防止策を提言しています。
報告書では担当部署で、慢性的に業務が過剰な状態にあり、こうした中で、一部の職員に業務が集中するという状況が生じていたと指摘しています。
そのうえで、人事政策において統計業務が軽視されていたと見受けられるとして、業務の重要性を認識した上で十分な数の人材を適切に配置することを求めています。
十分な数の職員を配置するということもありますが、それだけではありません。
報告書では、今回の問題の背景には、職員が統計についての十分な知識をもっていなかったことがあるとも考えられると指摘しています。
このため、職員が統計に関する十分な知識を学ぶ機会を設けるべきだとしているほか、統計の専門家に疑問や問題を気軽に相談できる体制を構築することなども提言しています。
そうですね。この点について報告書では、業務を行っている職員が問題を発見した場合、その人に不利益になるという構造になっているとも指摘しています。
むしろ人事上プラスに評価されるようにして、問題の発見や解決を奨励する風土を作ることも必要だとしています。
不適切な事柄が明るみに出た時に、個人の責任で片付けるのでなく、組織の構造的な問題としてとらえることで、根本的な改善につながることもあります。
国土交通省をめぐる一連の問題からは、他の官公庁や企業をはじめとする多くの組織にとっても学ぶべき教訓があるように思いました。
からの記事と詳細 ( 国交省の統計データ書き換え なぜ起きた? | NHK - NHK NEWS WEB )
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