おととし6月まで日本医師会の会長を務めた横倉義武さんが『新型コロナと向き合う』という著書を昨年秋に出版している。医療行政や現場のさまざまな課題を取り上げた中で、次のような指摘が目にとまった▼新型コロナは指定感染症として重症急性呼吸器症候群(SARS)と同等の扱い。横倉さんは「感染症の特徴を踏まえた運用ができるような新たな類型を作るほうがよかったのではないかとも思い、今後検証の余地がある」と言う▼控えめで慎重な表現ながら、過剰な警戒感に対して横倉さんは違和感を抱いているようにも読める。致死率などウイルスの詳細が不明だった流行初期は別として、オミクロン株に置き換わりつつある現在の対策は、どうあるべきだろう▼米国では急激に患者が増加して急速に減少に転じているという。英国などは国民性もあるのか、感染予防に割に無頓着なよう。オミクロン株は感染力は強いけれど重症化リスクは小さい。そんな報告が内外から相次いでいる▼国内で初感染が確認されて15日で2年。これまで軽症や無症状者にも隔離や自宅待機を求めてきたことの検証は必要だろう。かえって医療の危機を招いたかもしれないからだ。新たな変異株には特色に合わせた冷静で柔軟な対処法もあっていいのでは。(2022・1・12)
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