Thursday, January 27, 2022

夢の球場|愛媛新聞ONLINE - 愛媛新聞

 不思議な声を聞いた主人公がトウモロコシ畑を切り開いて野球場を造ると、伝説の選手がよみがえる―。米映画「フィールド・オブ・ドリームス」は野球への夢や家族愛をテーマにした名作で、日本でもおなじみだ。

 公開から30年余りの昨年、粋な演出があった。米大リーグがロケ地で公式戦を開催し、映画の世界を現実化させたのだ。トウモロコシ畑から登場した選手が球を追い、観客は夢を追う。野球の原点が見えた。

 こちらはリアル「夢の球場」。大リーグ、パイレーツの筒香嘉智選手が私費を投じ、出身地の和歌山県橋本市で球場などの総合スポーツ施設を建設、少年野球チームも設立すると発表した。個人としては異例の行動だ。

 筒香選手はかねて、少年野球の改革を提言してきた。長時間の練習や試合での酷使が子どものけがにつながり、将来をつぶされていると指摘。背景には、指導者らの勝ち負けに対する過剰なこだわりがあるという。

 声を上げるきっかけとなったのは、プロ野球時代のドミニカ共和国での武者修行。「楽しませ、野球を好きにさせる」ための指導に接し、日本との差を感じたそうだ。勝利至上主義は、子どものスポーツ全般の根深い問題でもある。

 筒香選手の球場は優しい天然芝で開放的なイメージだ。「ここは天国か」。映画の有名なせりふが思い浮かぶ。大人も子どもも楽しく自由にプレーし、夢を膨らませる。そんな場所になるといい。

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