Thursday, July 23, 2020

在宅ケア医「プロセスが欠落」|NHK 関西のニュース - nhk.or.jp

今回の事件について、ALSなどの難病患者の在宅医療やケアにあたってきた紅谷浩之医師は、「そもそも薬物を投与して患者を死に至らせることは、医師として大きな問題がある。ALSは病状の進行を止めることが難しいため、不安や恐怖が募った患者から『死にたい』ということばが出てくることもあるとは思うが、医師としては、患者が何を望んでいるのか時間や気持ちを共有しながら、さまざまな面から一緒に考えることが大切だ。しかし、今回は、そうしたプロセスや丁寧さが欠けていて、結論だけが1人歩きした印象があり、大きな違和感がある」と話しています。

【ALS患者は】
ALSの患者の中には生きていくことに消極的な考えが生じる人もいます。
その背景として病気の特性だけでなく、社会の理解や支援が十分でないことを指摘する患者の声もあります。
日本ALS協会の近畿ブロックの会長を務める増田英明さん(76)は今月、取材に応じみずからの体験をもとに患者の置かれている現状をメールの文章や文字盤を使って説明しました。
増田さんは勤めていた会社を定年退職した直後、60歳でALSを発症しました。
およそ1年で手足を動かせなくなり、現在は、人工呼吸器をつけて24時間の介護を受けながら自宅療養しています。
人工呼吸器の装着を望まないALSの患者は7割にのぼるといわれています。
増田さんも自力での呼吸が難しくなってきたときに医師から人工呼吸器をつけると家族の負担が大きくなると説明されたうえで装着するかどうか自分で決めるよう求められたといいます。
増田さんは「人工呼吸器をつければ生きられることを知りながら私たちに選択や決断を迫っているのです。医師を通じて社会から迫られます。多くの人は家族に迷惑をかけたくない、介護体制が不十分だから、さまざまな理由でためらいますが、それは自己決定として本人だけに帰される問題でしょうか。患者は『生きる』という当たり前の権利さえも選択をしないと得られません。本当は生きたいということさえも、堂々と言えないのです」と心の内を明かしました。
取材の中で増田さんは迷いながらも人工呼吸器をつけた知人の女性患者が初めて旅行に出かけた先で、「あんなになってまで旅行したいのかな」と通りすがりの人が話すのを耳にしたという出来事を打ち明けました。
増田さんは「彼女にとって、私たちにとって人工呼吸器をつけたことを後悔するのに十分な言葉です。通りすがりの人の言葉は社会そのものです。私たちは『あんなになってまで』と言われる存在で、生きることに迷ったりためらったりしている人はたくさんいます。体が動かせずにコミュニケーションもままならない状態では、患者自身も生きたいという意欲がもてずに尊厳死・安楽死に気持ちが傾いていくのは当然のことです。私たちは常に生と死の間で揺れ動いています。だからこそ、しっかりと丁寧にコミュニケーションを重ねて私たちが生きるために何が必要か、一緒に探ってほしいです」と話しています。

【生命倫理の専門家は】
今回の事件について生命倫理が専門の鳥取大学医学部の安藤泰至准教授は「患者に死期が迫っていない上、SNSで依頼を受けた医師が苦痛の緩和を尽くしたともみられず、海外の一部の国が厳しい条件を設けたうえで認めている『安楽死』とも大きくかけ離れた行為だ。一方で、ALSなどの患者が生きがいを持って生活できるサポート体制が十分に整備されているかなど、事件が起きた背景について考えていく必要があると思う」と話しています。

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