日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
新型コロナウイルスの感染拡大の勢いが衰えていない。昨年末に中国の武漢で発生した新型コロナウイルスの患者数は、全世界で1,000万人を上回り、今も感染拡大は続いている。その結果、いつになったら日常生活への復帰が可能になるのかと、将来への不安が募っている。そのような状況のなかで、私たちは毎日、新型コロナウイルスのニュースに接するようになり、自ずと「免疫」に対する関心も高まっている。
今回は、免疫調節機能をもつ不思議な物質「アロフェロン」について取り上げてみよう。私たちの体には、ウイルスや細菌などの異物が入ってきたときに、これらの外敵をやっつけてくれる「免疫」という仕組みが備わっている。ところが、この免疫の仕組みは、時として、花粉や食べものなど、私たちの体に害を与えない物質に対して「有害な物質だ!」と判断を誤って攻撃し、症状を引き起こしてしまう。それが、「アレルギー」である。
本来なら体を守ってくれるはずの免疫反応が、困ったことに、かえって自分自身を傷つけてしまうのだ。アレルギー反応は、過剰な免疫反応の結果である。アレルギー反応の原因となる物質は「アレルゲン」または「抗原」という。環境汚染が進んだことによって、PM2.5、自動車の排ガス、シックハウス症候群など、私たちの周囲の環境にはアレルゲンが増えている。それに花粉やダニ、ハウスダストなどのアレルゲンもある。
ところが、このようなアレルゲンが私たちの体内に入ってくると、これに対抗するため、免疫の仕組みは「IgE(アイジーイー)」という抗体を生成する。このIgE抗体は、皮膚や粘膜に多くあるマスト細胞の表面にくっついて存在する。再びアレルゲンが侵入してくると、アレルゲンはこのIgE抗体に結合し、マスト細胞のなかにつまっているヒスタミンなどの化学物質が一気に放出される。その結果、かゆみなどの症状が出るわけだ。
アレルゲンが体内に入ったら、直後から数時間以内にアレルギー反応で症状が出る。アレルギー疾患には、アレルギー反応の代表格である花粉症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、気管支喘息などがある。アレルギー鼻炎は、韓国では子どもの8割くらいが患っていて、親の悩みの種となっている。アトピーは、世界的に見ても治療薬がほとんどないのが現状である。
アトピー性皮膚炎の多くは乳幼児期に発症し、成長とともに治っていく傾向があるが、アレルギーと深い関係がある免疫物質「IgE抗体」をつくりやすい体質に多く発生するという。アトピーは、体質的な要因と環境的な要因が重なったときに発生するようだ。韓国だけでも、アトピー患者は170万人いるという。
今では皮膚科に行くと、ステロイド剤の軟膏やクリームを処方されることが多い。ステロイドには、体の免疫反応を抑える働きがあり、アレルギーなどの過剰な免疫反応を抑えることによって、優れた抗炎症効果を発揮する。ステロイド剤は、すばらしい効果はあるが、使い方を誤ると、重い副作用を生じる可能性もある。副作用を恐れて、急に服用を中止すると、「リバウンド」といって症状の急激な悪化をひきおこすため、使用を躊躇するようだ。
(つづく)
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July 06, 2020 at 01:30PM
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