Friday, April 10, 2020

【新型コロナ】 健康な若者が命を落とすのはなぜ?手がかりの「サイトカインストーム」とは | 害を及ぼすのはウイルスでなく自分の免疫システム - courrier.jp

Photo : Angel Garcia / Bloomberg / Getty Images

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正体不明の新型コロナウイルスの感染拡大で世界中が不安に覆われている。そして、今、世界中の医師たちがその正体不明の敵と対峙し、必死に戦いを繰り返すだけでなく、少しずつその正体を明かす手がかりを見つけている。

そのひとつが、2週間前まで医師たちすら、あまり耳にすることのなかった「サイトカインストーム」と呼ばれる現象。これが若い層がこの感染症で命を落とすことを解明する手がかりになるかもしれない。


害をもたらすのはウイルスではなく、自分の身体


3月17日、パリのある病院に到着した42歳の男性には、発熱とせきの症状、そして両肺の「すりガラス影」がみられた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の特徴だ。

その2日後、男性患者の容態は急激に悪化し、酸素レベルが低下した。患者の身体がサイトカインストームの状態に陥っているのではないかと医師らは考えた。

サイトカインストームは、免疫システムが過剰反応を起こす危険な現象だ。今回の新型コロナウイルスのパンデミックで、サイトカインストームはあまりにも一般的になってしまったが、一方では、効果を示す可能性のある薬物療法を暗示してもいる。

身体がウイルスや細菌に初めて遭遇すると、免疫システムの働きが高まって、侵入者と戦い始める。この戦いで歩兵となるのがサイトカインと呼ばれる分子で、細胞にシグナルを次々と送り出して反応を促す。通常、この免疫反応が強いほど、感染症に打ち勝つ可能性も高くなる。

子供や若者が全体的にコロナウイルスの影響を受けにくいのは、これが理由の1つである。そしていったん敵が打倒されれば、免疫システムは自らオフになるように作られている。

サイトカインストームの専門家であるアラバマ大学バーミンガム校のランディ・クローン博士は、「これはほとんどの人で、そしてほとんどの感染症で起こっていることです」と説明する。

しかし一部のケースでは(クローン博士のチームによれば、あらゆる重症感染症の患者の15%程度)ウイルスの脅威が去ってからしばらくたっても、免疫システムが暴れ回っている。

免疫システムは、身体を厳戒態勢において、消耗させるサイトカインを放出し続ける。そうしたサイトカインが、誤って身体を守ろうとした結果、肺や肝臓を含む複数の臓器を攻撃してしまい、これが死につながる場合がある。

こうした患者の場合、最終的に害をもたらすのは、ウイルスではなく、自分の身体の免疫反応である。

健康な若者はサイトカインストームで命を落とす?


サイトカインストームはあらゆる年齢の人を襲う可能性があるが、一部の科学者は、1918年のインフルエンザのパンデミックや、もっと最近のSARSやMERS、新型インフルエンザの流行の期間に健康な若者が亡くなったのは、サイトカインストームで説明できると考えている。

この現象は、全身性エリテマトーデスやスティル病(関節炎の一種)など、さまざまな自己免疫疾患の合併症としても起こる。

さらにサイトカインストームは、他の面では健康な若い新型コロナウイルス感染症患者が、急性呼吸窮迫症候群で亡くなっている理由の手がかりとなる可能性がある。急性呼吸窮迫症候群は、サイトカインストームの結果として生じることが多いのである。

中国やイタリアでは、この現象と一致すると思われる臨床症状のある若い患者が報告されている。こうした患者の一部は、サイトカインストームを起こしていた可能性が非常に高いとクローン博士はいう。

前述の42歳の患者のケースでは、サイトカインストームが疑われたため、医師らは最終的にトシリズマブという薬を投与した。これは、危険な状態にある免疫システムを落ち着かせるのにときおり使われてきた薬だ。

この薬を8時間間隔で2回投与しただけで、患者の熱は急激に下がり、酸素レベルが上昇した。

胸部スキャンでは肺がきれいになっているのがわかった。「アナルズ・オブ・オンコロジー」誌に掲載された、この患者の症例報告は、イタリアや中国からの数十件の報告とともに、トシリズマブが一部の患者において、新型コロナウイルスに対する有効な治療薬である可能性を示している。

3月5日に、中国は、新型コロナウイルス感染症の重篤患者にトシリズマブを使用することを承認し、臨床試験の実施を認可した。3月23日には、アメリカ食品医薬品局(FDA)が製薬会社ロシェに対して、数百人のCOVID-19患者を対象としたトシリズマブの臨床試験を認可した。

トシリズマブは、関節リウマチや、数種類のがんにおいて、免疫分子の過剰な活動を抑える作用が認められている。インターロイキン-6という、過剰な免疫反応に関連する特別なサイトカインの活動を抑制するのである。

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April 09, 2020 at 04:25AM
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