ニューヨークからシドニーまで1万6200キロメートルのマラソンフライトを筆者は耐え抜いた。フライトには約19時間半がかかった。
オーストラリアのカンタス航空が試験飛行を行った前代未聞の長時間フライトは20日早朝に着陸。ボーイングの「ドリームライナー」に乗り込んだ数十人は筆者を含め、ほぼ無傷で目的地に降り立った。
カンタス航空は2022年にもこの長距離ルートの商業運航を開始したい考えで、極めて苦しい時差ボケを緩和する方法を今回の試験飛行で探った。筆者の体験は以下の通り。
離陸
ニューヨークの午後9時過ぎにニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港(JFK)を出発した時点で既に、機内は空飛ぶ実験室と化した。目標は目的地のタイムゾーンにできるだけ早く順応することなので、すぐに時計をシドニー時間に合わせる。つまり、まだ寝る時間ではない。機内のライトは点灯したままで、オーストラリアで夕方になるまで少なくとも6時間は起きているよう指示された。
しかし、ビジネスクラスの一角に陣取った6人のカンタス航空のフリークエントフライヤーの1人は数分以内に居眠りを始めてしまった。正直言って、私も眠かった。シドニーでは真昼間かもしれないが、私の身体はニューヨークの真夜中だと主張していた。
2時間後
食事の時間になった。これは実験の重要な部分だ。乗客らの目を覚まさせる特別な料理が出される。チリとライムを添えたエビの風味豊かな一皿やスパイシーな中国風魚料理が刺激を与え、私は一時的に覚醒した。
3時間後
実験の過酷さが明らかになってきた。私の周りでは乗客たちが、眠らないために立ち上がっている。居眠りをしていたフリークエントフライヤーは再び眠り込んでいた。
4時間後
このフライトの実験を監督しているシドニー大学のマリー・キャロル教授が号令をかける。乗客たちは、ストレッチをしたり前の座席の背を使って腕立て伏せをしたりする。最後は通路に出ていっしょに踊る。まるでキャバレーのようだが、時差ぼけの克服は真剣な問題だ。体内時計が乱れると、心機能と代謝を含む重要なプロセスが混乱すると専門家は述べている。
7時間後
2回目の食事が配られる。比較的短い間に2回食事が出たことで、私としてはフライトの前半部分の時間は早く過ぎた。次の数時間もすぐに過ぎるはずだ。今回の食事は炭水化物が多く、眠くなるような献立になっているからだ。
ついに機内が暗くなる。解放されたように感じたわたしは眠りに落ち、6時間、目を覚まさなかった。
14時間後
私が自分でチェックしたところ、体調は大丈夫だ。シドニーで医者がストレスと疲労のよい指標になると教えてくれた血圧は、通常の水準に戻っている。
17時間後
朝食の時間だ。献立は古代穀物、アボカドのピューレ、温かいハロウミチーズ、ハーブサラダ。フリークエントフライヤーの1人はほぼ8時間眠り気分爽快だと話した。
着陸間近
着陸
数日前に1回乗り換えでシドニーからニューヨークに飛んだ時よりも気分はいい。その時は、ロサンゼルスまでの十数時間のフライト後、私は他の何百人ものゾンビ化した旅行者や移民とともに1時間半、入国手続きの列に並ばなければならなかった。
個人的には、私は乗り継ぎ便よりシドニー・ニューヨーク間の直行便を選ぶ。しかし、それは誰にでも適しているわけではないだろう。フライトの前半では眠らないための自制と努力が必要だった。
努力は報われ、私は疲れは感じたものの衰弱してはいなかった。シドニーの日曜の昼食時には、私は子供の誕生パーティーにさえ参加できるほど元気だった。
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原題:I Took the World’s First 20-Hour Flight. Here’s What Happened (2)(抜粋)
2019-10-21 06:49:00Z
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-10-21/PZPC72DWLU6G01
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