コロナ禍では、国の過剰な規制が妨げとなり、検査や治療が行き届かない事例が相次いだ。政府はその反省を生かし、改革を進めてほしい。
政府の規制改革推進会議が今年の答申をまとめた。医療・介護やデジタル化、新興企業の育成などについて、約330項目にわたる規制の緩和を提言した。
新型コロナウイルスの流行初期は、検査態勢が整っていなかった。感染を調べる抗原定性検査キットの開発後も、使用には医師の指示が必要で、簡単には入手できなかった。厚生労働省は昨秋、特例として薬局での販売を認めた。
答申は、検査キットの薬局での販売を恒久化するよう求めた。
身近な場所で検査器具を購入できる安心感は大きい。欧米では、ネットで購入することもできる。自ら唾液を採取して調べるだけなら、健康被害の恐れは少ない。推進会議の提案は妥当だ。
厚労省は、使用法の説明が不十分となることや、供給不足への懸念から、ネット販売には慎重だ。消費者が安心して購入できる仕組みを検討してはどうか。
医療分野の規制は、国民の命や健康を優先して定められている。安全確保は当然だが、社会のニーズに応じて選択肢を広げ、利便性を高めていくことも重要だ。
検査キットを巡っては、精度が不確かな「研究用」と称する製品が出回った。規制を設けるだけでは安心とは言えない。流通の実態に即した防止策をとれるように、国は監視の目を強めるべきだ。
オンライン診療は、初診も含めて認められるようになった。答申では、高齢者の利用拡大に向けて、デイサービス施設などで積極的に活用するよう促した。
スマートフォンなどデジタル機器の操作に慣れない人でも、介護職員の手助けがあれば利用しやすくなるだろう。
推進会議は、在宅医療に関し、看護師が行う点滴の交換や薬の塗布といった業務を薬剤師にも認めるよう求めた。
深刻な看護師不足を踏まえた案なのだろうが、薬剤師に対人業務まで担わせるのは行き過ぎではないか。看護師を確保するのが筋であり、出産などで辞めた人の再就職を支援し、働きやすい環境を整えることが先決だ。
規制緩和は、国の関与を最小限にして経済を活性化させる狙いがある。ただ、手法を間違えると、社会に
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