Thursday, May 14, 2020

新型コロナの炎症反応制御に、ナノテクノロジーを用いた送薬システムが有用な可能性 - QLifePro医療ニュース

読了時間:約 2分11秒

2020年05月14日 PM03:00

ナノテクノロジーで重篤なCOVID-19の治療に光

新型コロナウイルス感染症()が重篤化する際の重要なポイントは、免疫系が暴走した状態になる「」にあると考えられている。この急速に進む過剰な炎症反応を効果的に抑える治療法は今のところないが、ナノテクノロジーを活用した薬剤送達システムがその制御に役立つ可能性があることが、フランスとブラジルの合同チームの研究で明らかにされた。結果の詳細は「Science Advances」4月27日オンライン版に報告された。


画像提供HealthDay

若くて基礎疾患のないCOVID-19患者は軽症や無症状で済むことが多いが、一部には重篤な状態に陥る患者もいる。その原因は明らかになっていないが、ひとたび重症化すると、過剰な免疫系の反応を制御できなくなるサイトカインストームと呼ばれる状態に陥ることも珍しくない。

研究を率いたパリ南大学(フランス)のPatrick Couvreur氏らは「炎症のプロセスは全身のあらゆる部位の細胞を傷つけ、患者は臓器不全から死に至る可能性もある。サイトカインストームの際に重要なのは、炎症と酸化ストレスの関係だ。これらのプロセスは互いの働きを加速させ、悪循環をもたらす」と説明している。

現時点では、サイトカインストームの悪循環を食い止める治療法はない。例えば、副腎皮質ステロイド薬などの抗炎症薬は、組織の修復が抑制されるため、十分な効果を得られないことが分かっている。ただ、マウスを用いた実験から、ナノテクノロジーを用いて過剰な炎症を起こした組織に薬剤を送り届けることにより、炎症を抑えられる可能性が示唆されていた。

そこで、Couvreur氏らは今回、アデノシンと呼ばれる、アデニンとリボースからなる抗炎症作用のある極めて微小な“ナノ粒子”に着目。そのままでは深刻な副作用が引き起こされる可能性があるアデノシンを他の成分と混合し、ナノテクノロジーを活用した新しい投与方法を試みた。

Couvreur氏らは、まず、アデノシンと同じく、体内にもともと存在する脂肪の一種であるスクアレンにアデノシンを加えた“マルチドラッグ・ナノ粒子”を作製。次に、このナノ粒子を強力な抗酸化物質でビタミンEの一種であるα-トコフェロールの中に封入した。この粒子を、ナノテクノロジーを用いて、敗血症、あるいはサイトカインストームに似た過剰な免疫反応状態のマウスの組織に送達した。その結果、炎症誘発性サイトカインである腫瘍壊死因子-α()が減少した一方で、抗炎症サイトカインであるインターロイキン-10()が増加したことが明らかになった。また、治療開始から4時間後には、肺や腎臓などの重要な臓器でこの変化が認められた。

動物実験で得られた結果は、必ずしもヒトに応用できるとは限らないが、感染症の専門家で米ツーソン医療センターのMatthew Heinz氏は「この結果は理にかなったものだ」と評価。「この技術を用いることで、重篤なCOVID-19患者のサイトカインストームに打ち勝てる可能性を示すエビデンスが得られたことは心強く、励みになる」と期待を示している。(HealthDay News 20 2020年4月28日)

▼外部リンク
Squalene-based multidrug nanoparticles for improved mitigation of uncontrolled inflammation

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