馬毛島のマゲシカ。環境省レッドリスト2020で「絶滅の恐れのある地域個体群」に指定されている=2018年7月、西之表市馬毛島
日本哺乳類学会の哺乳類保護管理専門委員会(約30人)は、島固有のニホンジカ亜種マゲシカや在来種の可能性があるネズミの減少を懸念。「学会の指摘に十分な対応が行われたとは評価できない」との意見を5月31日、同省に送り、追加の調査を要請した。
準備書が示したマゲシカの推定生息数700~千頭について、「データと算出手順の記載がない」と指摘。センサーカメラと目視の併用で重複して数えた可能性を挙げた。
基地建設に伴って減少する森林は「マゲシカの秋冬の餌となる堅果類を供給し、メスと子にとって重要なシェルターの役割を果たす」と復元を主張した。
さらに「最終的に現在よりかなり少ない頭数で維持を図るシナリオ」が想定されるとして、長期モニタリングや専門家の検討会設置が必要としている。
学会員で北海道大の立澤史郎助教(保全生態学)は、重要種だけを保全対象とした点を「島内で絶滅種が出れば重要種にも影響を及ぼす」と危惧。「米軍は自然保護を国防の基礎として重視している。防衛省は自然や地域への向き合い方が稚拙だ」と批判した。
一方、西之表市が問題視するのは、防衛省が基地周囲に設置する管理用道路。同省は「基地設置の有無に関わらず、国有地を維持・管理する目的」などとしてアセスの対象外としたが、道路工事は基地建設事業の一部とみなし、アセスの実施を求めている。
同省は道路工事の際に重要種を移動させるなどの「自主的な環境保全措置」を市に示した。市は県の求めに応じ、5月16日、この措置に対する意見書を県に提出した。
具体的には、広範囲に分布するサンゴ石灰岩などの調査▽陸域動物を工事区域から移動させる詳細な手法の提示▽両生類、は虫類の具体的な保全方法の説明-など16項目にわたって要望。埋蔵文化財の現地調査も訴える。県は専門家から意見を聞き、取りまとめて同省に伝えるとしている。
からの記事と詳細 ( 馬毛島アセス準備書の不備指摘 哺乳類学会専門委員会「十分な対応と評価できない」 防衛省に追加検証求める | 鹿児島のニュース - 南日本新聞 )
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