Monday, December 18, 2023

白内障手術の際「誤って別の患者の眼内レンズを挿入してしまう」事故が散発、手術前に十分な確認を—医療機能評価機構 - メディ・ウォッチ

白内障手術の際、誤って別の患者の眼内レンズを挿入してしまった—。

日本医療機能評価機構が12月15日に公表した「医療安全情報 No.205」から、こうした事例(医療事故)が2020年1月1日から本末(2023年)10月末までの間に14件も報告されていることが分かりました(機構のサイトはこちら)。

日本医療機能評価機は、全国の医療機関から医療事故やヒヤリ・ハット事例(事故には至らなかったものの担当医療スタッフ等が「ヒヤリ」とした、「ハッ」とした事例)の報告を受け、背景等を詳しく分析して「事故等の再発防止に向けた提言」等を定期的に行っています【医療事故情報収集等事業】(国立病院や特定機能病院などでは事故等の報告が義務付けられている、本年(2023)年4―6月を対象とした第74回報告書に関する記事はこちら)。

さらに事故事例などの中から「特段の注意が必要と考えられる事例」(繰り返し発生している医療事故など)を毎月ピックアップ。簡潔に整理し「医療安全情報」として公表しています。医療現場に「こうした事故が頻発しているので最大限の注意を払ってほしい」と強く呼びかけるものです。


12月15日に公表された「医療安全情報No.205」では、「別の患者の眼内レンズの挿入」事例がテーマに取り上げられました。

ある病院では、SPD担当者が眼内レンズとレンズ指示書をセットにして「2人分」を準備しました。患者Xの手術中、医師から眼内レンズを出すよう指示があった際、看護師は「患者Yの手術をしている」と思い込み、患者Yの眼内レンズとレンズ指示書を照合しました。看護師は、レンズ指示書に記載された患者Yの氏名と度数を読み上げて、眼内レンズを清潔野に出した。医師は「氏名が違う」ことに気付かず、患者Xに「患者Yの眼内レンズ」を挿入してしまいました。手術終了後にSPD担当者が「患者Xの眼内レンズが残っている」ことに気付き、誤りに気が付きました。

別の患者の眼内レンズを挿入してしまう医療事故が散発(医療安全情報205 231215)


また別の病院の手術室に「2名分の眼内レンズ」が袋に入った状態で置かれていました。患者Xの手術開始後、医師から眼内レンズを出すよう指示があり、看護師Aは、袋から「患者Y用の18.5Dの眼内レンズ」を取り出し、眼科手術一覧表に記載されていた情報と照合しましたが、その際、患者氏名は見ていませんでした。看護師Aは眼内レンズの種類と規格のみを読み上げ、医師から「はい」との返事があったので清潔野に出しました。手術終了後、看護師Bが使用後の眼内レンズのシールと一覧表を見て「患者Xに、誤って患者Yの眼内レンズを挿入していた」ことに気付きました。


こうしたミスは、▼患者Xにおいて「再度の手術」が必要となる▼患者Yの眼内レンズを改めて作成しなければならず、患者Yの手術が遅れてしまう—という問題を引き起こしてしまいます。

機構では、例えば、手術開始前に▼「手術を行う患者の氏名」と「レンズ指示書の氏名」を照合する▼「レンズ指示書」と「眼内レンズの規格・種類」を照合する▼照合済の眼内レンズを置く場所を決め、他のレンズとは区別する—といった取り組みなどを検討・実施するよう呼び掛けています。

なお、こうした事例について「眼内レンズ挿入術だけのもの」と捉えず、医療機関全体において「患者を取り違える可能性のある重大事例」としっかり受け止めることが重要でしょう。

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