「ディスカウントして評価」が4割超
英文開示が不十分なことが、海外からの投資を阻む要因となっている。状況を打開しようと、東証は2025年3月から英文開示の義務付けを検討する。
岸田文雄首相が資産運用立国を掲げる中、日本が海外マネーを引き付ける「投資される国」へ変貌を遂げられるか、大きな課題となっている。そのための最低限のインフラと言えるのが、投資家の投資判断に必要な情報を英文で公開する英文開示だ。
東京証券取引所の市場区分見直しにより、2022年4月に開始したプライム市場は、「グローバルな投資家との建設的な対話を中心に据えた企業向けの市場」と定義されている。まさに英文開示が必須の市場と言える。東証の調査によれば、英文開示を実施しているとする上場会社の割合はここ数年で徐々に上昇しており、プライム市場では23年8月末時点で97.2%となった。ただし十分とは言い難いのが現状だ。例えば有価証券報告書について、全てを英文開示している企業はわずか6.4%であり、日英同時に開示している企業は2.8%にとどまる。
改善は認めるも7割が不満
こうした状況は海外投資家からどう見えているのか。東証は「英文開示に関する海外投資家アンケート調査」を実施した。23年6月26日~7月31日にウェブアンケートとして実施、回答数は75件で、うち95%は機関投資家、5%は証券会社や独立系調査会社などだった。
■ 海外投資家による英文開示に関する評価
出所:東京証券取引所
ここ数年の英文開示実施率の向上を受けて海外機関投資家からは改善を認められているものの、満足しているかとの問いには「不満」「やや不満」との回答が約7割を占める。不十分な英文開示は、機関投資家の投資行動にも大きな影響を及す。英文開示が不十分なことで「ディスカウントして評価した」との回答は41%、「投資対象から外した」は35%、「ウエートを減らした」は28%となった。
■ 英文開示が不十分なことによる投資活動への影響
出所:東京証券取引所
こうした回答は衝撃的だが、投資家にとっては当然のことだろう。「日本語では情報があるのに英語ではない、あるいは開示に時間差があるといった非対称性は、海外投資家に対して不利な要素になる」(東京証券取引所上場部企画グループの池田直隆統括課長)。かつては海外の証券会社などで日本語が分かる日本担当者が配置されることが多かったが、今や日本はグローバル株やアジア株の1つとするケースも少なくない。英文開示の不備は海外投資を阻む。
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