[東京 19日 ロイター] - 日本製鉄 (5401.T)の橋本英二社長は19日、前日発表した米鉄鋼大手USスチール(X.N)の買収について会見し、「十分な経済合理性がありとして臨んでいる」と述べた。買収額約2兆円は割高ではないかとの指摘が出ていることに答えた。相乗効果や利益貢献についても問われたが、コメントを控えた もっと見る 。
橋本社長は、日鉄の成長の柱である海外戦略と合致していると説明。「USスチールと米国市場で新しい技術や商品をともに磨き、鉄に求められるニーズにこたえていくというチャレンジに乗り出すことにした。新たな時代におけるグローバルネットワークを完成させていきたい」と述べた。
全米鉄鋼労働組合(USW)が反対声明を出していることについては、「労働組合を大事にするという意味では日鉄も世界において人後に落ちない。相通じる。丁寧な対話を行えば必ず理解が得られる」と語った。
約2兆円規模の買収資金は当面、主要取引銀行からの融資で主に賄う。森高弘副社長は、長期資金に切り替える方針を示した上で、「調達にはいろいろな方法がある。市場の状況などを精査したうえでその時の最適な方法を考えていく。資金についてご心配頂くような状況にはない」と語った。
世界鉄鋼協会によると、日鉄は22年の粗鋼生産で第4位。USスチール買収により、第3位に浮上する。
鉄鋼業に今後求められる脱炭素には、多額の資金が必要となる。橋本社長は、電炉による高級鋼生産と水素還元の2つしか道がないとし、USスチールと脱炭素への取り組みも加速させる考えを示した。
19日の東京株式市場では、日鉄株は一時6%安に値を下げた もっと見る 。橋本社長は「短期的な株価の上下に一喜一憂するほど敏感ではない。あまり気にしていない」と述べた。
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