11月定例県議会で知事による「再議」を経て可決された県立大関連事業費を含む予算案。人手不足に悩む経済界からは歓迎の声が上がる一方、市民からは大学の魅力やどんな人材を育てるかがまだ見えず、「十分な説明を」という意見が聞かれた。
県立大設置の早期実現を盛り込んだ要望書を知事と県議会議長に提出していた県商工会議所連合会。陣内芳博会長は「可決は経済界として歓迎する」と話した。学生が県内にとどまれば県内就職の選択率も高まると予測。「付帯決議にあったように、基本的なことは都度明らかにしてしっかり議論をしてもらうことを期待している」
人材不足が深刻な県内IT業界も歓迎する。木村情報技術(佐賀市)経営戦略室の吉村眞部長(42)は「教育に力を入れることには賛成」と話す一方、全国で人材獲得競争が激化していることに触れ「受け皿となる県内企業の魅力づくりと発信力強化も行わなければ、育てた人材が県外に流れる」と指摘した。
県立大待望の声は各地で根強い。奨学金給付で学生を支援する公益財団法人事務局長の浦田征彦さん(55)=唐津市=は「どんな人材を育てていきたいか、大学の価値が何なのかが今回伝わらなかったのでは」とし「県立大設置はぜひという気持ち。観光や経済を支える人材育成、社会人のスキルアップの場として機能してほしい」と話す。
開学予定の2028年度頃に受験期を迎える中学生を持つ保護者。鳥栖市の40代の母親は「大学の目玉や魅力が分からず、卒業後にどんな仕事があるかもはっきりしない現状では、子どもを入れたいか判断はつかない」と話す。設置場所によっても状況は大きく変わるといい「予算を先に通すのはおかしく、議会が心配するのは当然。県民や保護者にも分かるよう十分な説明は必要」と注文した。
佐賀市の坂井英隆市長は同日の定例会見で「(議論が続いたのは)それだけ関心が高いということ。佐賀市として、若者の県外流出抑制や人手不足解消に寄与すると捉えている。議論の状況をしっかり見ていきたい」と述べた。(取材班)
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